ドラフト1位で華々しく入団するも、早々にクビになる「高卒投手」は多い “野球賭博”で無期失格になった最悪のケースも
野球賭博で引退、そして窃盗容疑で逮捕…
野球賭博に関与して将来を棒に振ってしまったのが、2011年の巨人1位・松本竜也(英明)である。
高校時代は最速146キロの長身左腕(193センチ)で、“英明のランディ・ジョンソン”と呼ばれた松本は、菅野智之(同年は日本ハムが交渉権獲得)の外れ1位として巨人に指名された。
「巨人は一流選手が集まっているイメージ。その中で野球ができることがうれしい。早く1軍に上がれるよう頑張っていきたい」と飛躍を誓ったNPB史上日本人歴代最長身左腕は、3年目の2014年にイースタンの開幕投手を務めるなど、先発を中心に16試合に登板も、翌15年は登板9試合と伸び悩んだ。
そして、同年オフに明らかになった巨人の所属選手による野球賭博問題に、松本も関与していたことが判明。11月10日、福田聡志、笠原将生とともにNPBから無期失格処分を受け、巨人も契約解除になった。
「自分なりに反省している。いろんな人に申し訳ない。興味本位で手を出してしまった」と悔やんだ松本だったが、賭博と引き換えに失ったものは大きかった。
さらに今年5月8日には、窃盗容疑で香川県警高松北署に逮捕され、再びその名がクローズアップされた。あくまで結果論だが、11年のドラフトで巨人が菅野の競合くじで当たりを引いていれば、松本の未来もあるいは違ったものになっていたかもしれない。
戦力外後にメジャー昇格を期待された選手も
松本と同じ2011年のDeNA1位で、3年後に戦力外通告を受けたが、NPBを去ったあとも米マイナーなど7年にわたって現役を続け、“剛球王”と呼ばれたのが、北方悠誠(唐津商)である。
夏の甲子園2試合で23奪三振を記録した最速153キロ右腕も、プロ入り後は制球難を克服できず、1軍登板機会のないまま、14年オフに自由契約。トライアウトを経て、育成契約で入団したソフトバンクも1年で戦力外になった。
現役続行を望んだ北方は、再びトライアウトを受けたが、NPBの球団からオファーはなく、2016年から群馬、愛媛、信濃、栃木と日本国内の独立リーグを渡り歩く。
そして、球速が160キロ超に増した栃木時代、「NPBを経験している素晴らしい投手がいる」の噂を耳にしたドジャースの国際スカウト部長が見守る前で100マイル(約161キロ)をマークしたことが認められ、2019年5月にマイナー契約を結んだ。
NPBを戦力外になった元ドラ1投手では、村田透(2007年の巨人1位)以来のメジャーリーガー誕生なるかと注目されたが、翌20年、コロナ禍によるマイナーリーグ開催中止により、メジャー挑戦のチャンスは潰え、帰国。その後も栃木、北九州でプレーを続け、22年10月に28歳で現役引退を発表した。
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