ブルース・リーと白熱の格闘シーン「ジャバ―」 お家芸“スカイフック”の意外な原点(小林信也)
悪役ハキム
映画ファン、格闘技ファンには、ジャバーは「あのブルース・リーと共演した悪役ハキム」として記憶されているだろう。
制作中に不慮の死を遂げ、長く幻の作品として公開されなかった「死亡遊戯」で、ジャバーは悪役の一人ハキムを演じ、なんとリーと5分にも及ぶ白熱の格闘シーンを展開している。身長170センチのリーが218センチのジャバーに立ち向かう絵面は合成写真にさえ思われる。それほどジャバーの大きさが際立って見える。何しろ、リーの目線がジャバーの胸より下にある。とても同じ大人とは思えない。
ジャバーは、リーへの感謝を「The Hollywood Reporter」誌(2019年8月16日号)につづっている。
「私は初めてブルースに会ったとき、まだUCLAの学生でした。それより前にニューヨークで始めた武道をもっと学ぶことができる場所を探していたのです。私たちはすぐに師弟関係を結ぶと同時に友人同士にもなりました。彼は私に武道の自律と精神性を教えてくれました。私が20年間のNBAキャリアを数少ない故障で過ごせたのはそのおかげなのです」
公開は78年、LAレイカーズ移籍4年目の年。他のNBAレジェンドと違うジャバーの存在感はこうして生まれた。
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