秋ドラマ「視聴率ランキング」 公私ともに絶好調…1位は岡田将生主演「ザ・トラベルナース」
中井貴一とバディ
「ザ・トラベルナース」は医師並みの知識と医者以上の献身性の高さを持つスーパーナース・那須田歩(岡田将生・35)と九鬼静(中井貴一・63)の物語。那須田は九鬼を「ウソつき」などと評するが、ひそかに尊敬している。九鬼も那須田を見下すような態度を取るものの、実は買っている。刑事物ではないが、2人の関係はバディだ。
病院は医師を頂点とするヒエラルキー型組織だが、2人はその組織を実質的に壊す。観る側には痛快である。寺島しのぶ(51)、安達祐実(43)、野呂佳代(41)たちが演じるナース仲間とのエピソードも愉快。
「相棒 season23」の13日放送は野球生中継「第3回WBSCプレミア12 日本×オーストラリア」があったため、休止された。このため、6日放送の第4回の個人視聴率を記載した。
「海に眠るダイヤモンド」は昭和の高度経済成長期の炭鉱町と現代が舞台。主演の神木隆之介(31)が実直な炭鉱職員・鉄平と、根なし草のホスト・玲央の2役をこなしている。同じドラマで2人の人物を演じても違和感がなく、神木の演技力の高さを再認識させている。
第1回より視聴率が落ちたのはコア世代(13~49歳)がやや離れたから。炭鉱の男たちが命を助け合う姿や人々の貧しい暮らしなどがリアルに描かれているため、コア世代にはとっつきにくいのかも知れない。
半面、中高年からの支持は分厚い。物語やメッセージがしっかりしているからだ。戦後の日本が何を得て、何を失ったのかを考えさせる。
(4)TBS「ライオンの隠れ家」(金曜午後10時)15日放送の第6回3.5%、第1回2.8%
(4)フジテレビ「嘘解きレトリック」(月曜午後9時)11日放送の第6回3.5%、第1回4.1%
(6)テレビ東京「D&D~医者と刑事の捜査線~」(金曜午後9時)15日放送の第5回2.9%、第1回3.3%
(6)フジテレビ「全領域異常解決室」(水曜午後10時)13日放送の第6回2.9%、第1回3.5%
「ライオンの隠れ家」はミステリー仕立てで肉親の絆を描いている。主演の柳楽優弥(34)が演じる市役所職員・小森洸人は、弟で自閉スペクトラム症の美路人(坂東龍汰・27)と静かに暮らしていた。そこへライオンを自称する少年・愁人(佐藤大空・5)が突然現れ、「ここで暮らす!」と言い出したことから、生活が一変する。
愁人は音信不通になっていた洸人たちの異母姉・橘愛生(尾野真千子・43)の愛児だった。愛生は夫で山梨県の名門一族の一員である祥吾(向井理・42)から逃げている。尋常な理由ではないようだ。
個人視聴率が伸びている。穏やかな性格の洸人が、長く往き来が途絶えていた愛生、存在すら知らなかった愁人を守るため、人が変わったように奮闘する姿が観る側を惹き付けるのだろう。
「嘘解きレトリック」は若き実力派同士である鈴鹿央士(24)、松本穂香(27)のダブル主演作。2人がうまいから、安心して観られるという視聴者が多いのではないか。
舞台は昭和初期。貧乏だが、頭が切れて心優しい探偵・祝左右馬(鈴鹿)と、ウソを見破る特技を持つ助手・浦部鹿乃子(松本)による物語。ミステリーでありながら、ホッとする内容になっている。
「D&D~医者と刑事の捜査線~」は外科医師・紙子良(藤木直人・52)とベテラン刑事・弓削文平(寺島進・61)が難事件を解決に導く。
テレ東の連ドラ枠は10月から1時間繰り下がり、午後8時台から同9時台に。内容も一新し、若い世代も視野に入れた物語から、中高年を強く意識したものになった。それが功を奏し、個人視聴率は大幅にアップした。
藤原竜也(42)が主演する「全領域異常解決室」は1度落ちた数字が徐々に伸びている。当初は「神隠し」など信じがたいエピソードが登場するので敬遠した視聴者が、好評であることを知り、戻って来ているのではないか。
藤原が演じているのは興玉雅。内閣官房直属の全領域異常解決室に所属する超常現象のスペシャリストである。ややもすると暗い話になってしまう設定だが、興玉のバディ・雨野小夢役の広瀬アリス(29)がコメディリリーフ的な役割も果たしている。
[2/3ページ]