香港・民主派「45人」に最高で禁固10年の実刑判決 最大規模の「国安法」裁判で争われた“予備選挙”とは何だったのか

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 香港高等法院(高裁)は19日、香港国家安全維持法(国安法)の国家政権転覆共謀罪で有罪となった被告45人に対し、禁錮10年から4年2月の量刑を言い渡した。2021年1月の一斉逮捕から3年以上にわたった「47人案(47人事件)」は、これにてひとまず終結したことになる。内外から注目され続けたこの事件は一体なぜ、香港の国安法裁判で最大規模となったのか。「罪」として争われた予備選挙の経緯を振り返る。

予備選挙はなぜ実施されたのか

 19日に量刑を言い渡された被告45人は、一連の民主化運動で主軸となった学者や元議員、活動家といった顔ぶれだった。その中には、先に別件で収監されていた黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏らも含まれている。彼らが国家政権転覆共謀罪という重罪に問われた根拠は、検察側が「香港政府を弱体化させ、立法会(国会に相当)を掌握するための陰謀」と主張した2020年の民主派予備選挙だった。

 その前年の2019年、民主化デモが激化していた11月24日に区議会(地方議会に相当)選挙が実施された。汎民主派(民主派の総称)はこの選挙で452議席中389議席を獲得して圧勝。この結果を受け、当時は2020年9月6日に予定されていた立法会選挙(第7期)でも勝利を収めるべく、予備選挙の構想が動き始めた。

 間接選挙と直接選挙から成る立法会選挙は、第7期の時点では定数70議席のうち35議席が地域別選挙区の直接選挙、残りの35議席が業界別の職能団体による選出だった。行政長官選挙と立法会選挙における普通選挙の実現を含む「五大要求」を政府に承諾させるには、民主派議員を1人でも多く送りこむ必要がある。だが、汎民主派には複数の派閥があるため、立候補者を調整して票の食い合いを防ぐ予備選挙が注目されたのだ。

国安法の施行、立法会選挙の延期

 政党間の調整やミーティングなどの準備期間を経て、不参加の政党もあったが、2021年7月11・12日に予備選挙「立法会35+初選」が実施された。「35+」は過半数となる「35議席以上」の意味である。コロナ禍はすでに始まっていたが、最終的な投票者数は約61万人と、主催側が予想した17万人をはるかに超える数だった。

 一方で、中国政府は国安法の成立に動いていた。同法は同年5月28日に全人代が草案を可決した後、全人代常務委が可決した6月30日の夜11時(香港時間)から施行。予備選挙の投票前には、複数の機関や政府関係者が国安法に抵触する可能性を指摘した。

 こうした動きなどを受けて、予備選挙直前と選挙後には参加者の脱退表明が相次いだ。7月17日には予備選挙の中心的な調整役だった戴耀廷(ベニー・タイ)氏も、「調整の主要な作業は完了」と事実上の脱退宣言を発表。戴氏は2014年に「中環占拠」(雨傘革命に発展)を提唱し、2019年4月に扇動罪で禁錮1年4月の実刑判決を受けた人物だ。同年8月に仮釈放されたが、2020年7月に香港大学法学副教授の職を解かれた。

 香港政府は、予備選挙の勝利者たちに香港基本法(憲法に相当)への支持を表明する文書への署名を求め、さらに「予算案に対する拒否権発動」についての意向を確認した。この拒否権発動は「五大要求」の承諾を政府に迫る手段として発案されたものである。

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