「あのおばはんええ加減にせえよ」 角田美代子ファミリーの“暴力担当”が逮捕後に吐露した恨み節【発覚から12年】

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第2回【親族の男女に“行為”を強要、服を脱がせて“水攻め”に…尼崎事件の主犯・角田美代子がいくつもの家族を破滅に追い込んだ戦慄の手口】の続き

 兵庫県尼崎市で大量殺戮事件が発覚したのは2012年10月だった。他人の家庭に介入し、次々命を奪った角田(すみだ)美代子(享年64)。その“暴力担当”で、義理のいとこにあたる李正則(41)の120枚に及ぶ供述調書には、戦慄の人心掌握術が綴られていた。

 今回の第3回では、美代子が「参考書」としたのではないかと目される書籍や、「角田ファミリー」の中で実は冷遇されていたという自身の扱いについて語っている。

(全3回の第3回:「週刊新潮」2015年11月19日号「殺戮の女帝『角田美代子』暴力担当の供述調書120枚!」をもとに再構成しました。文中の年齢、役職等は掲載当時のままです)

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美代子が好きな本は皇室と心理学関係

 美代子の振る舞いには「参考書」があったのでは、と指摘していた正則。それは自身が神戸刑務所に移送される前、拘置所の中で読んだというスティーヴン・ハッサン著『マインド・コントロールの恐怖』(恒友出版)だった。

 著者は米国の統一教会元幹部で、脱会後はカウンセラーとして活動。95年には、オウム真理教事件の調査のために来日した、カルト問題の第一人者である。正則は、美代子の手口との類似点を本から抜き書きしてノートに控えていたといい、同年11月2日付の調書では、

〈私が同じだと感じた内容については、次のとおりで、内容の後の括弧書きは私が思ったこと等です〉

 と前置きしながら、

〈自分の過去の生い立ち、仕事、趣味、友人を色々聞き出す(同じ)。人々の願望をもてあそぶ。約束するものを提供しない。皆を罠に掛け自尊心を壊してしまう(同じ)。目標達成のためには、たとい一晩中起きていることになるとしても、やむを得ない(同じ)。こういう人に係わったために人格の急激な変化を起こした人がいないだろうか(私)〉

〈気になったのは、この本の中で「やめい」「おまい」という言葉が使われていたことで、この言葉を美代子もよく使っていたのです。「やめい」というのはやめろの意味で、「おまい」はお前の意味。私も尼崎市出身ですが、このあたりではあまり使わない言葉なので前から気になっていました〉

〈この本を読んでいるところを見たことはありませんが、あまりにも美代子がやって来たことと同じです。このような本を読まないで自然と身につけたものなら美代子は「悪魔」としか言いようがないと思います〉

 そう結んでいる。

 実際にファミリーに身を置いていた、ある人物が明かすには、

「美代子が好きな本のジャンルは、皇室と心理学関係。時間のある時は、だいたい読書かテレビショッピングをして過ごしていました」

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