文庫版がベストセラー『百年の孤独』とフェイクニュースの意外な共通点…石戸諭が語る「魔術的リアリズム」の核心とは
フェイクニュースを読者が信じてしまうのはなぜなのか
実はガルシア=マルケスの小説の描き方は現代にも通じている。石戸氏によれば、「フェイクニュース」がまさにその手法で生成されているのだ。
「フェイクニュースを読者が信じてしまうのはなぜなのか。それは“いかにもありそうだ”というリアリティがあるからです。信じてしまうに足るディテールが書き込まれているから、本物のニュースだと勘違いしてしまう。それはガルシア=マルケスがやったことと表面的には同じなんですね。だから、ある意味、フェイクニュースに惹き付けられるマインドとガルシア=マルケスに惹き付けられるマインドというのは似た要素があるということなのです。人間は物語の力に惹きつけられる。フェイクニュースは肯定しないけど、なぜ拡散するかを考えることは大切なのです」