リタイア後の必須アイテム「Switch」のススメ 「ドラクエIII」「ストリートファイターII」懐かしいタイトルがズラリ(中川淳一郎)

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 Nintendo Switchをついに買ってしまいました。11月14日に「ドラゴンクエストIII HD-2D版」が発売されたので、これをプレイするために買ったのです。年間2400円を払えばファミコン、スーパーファミコン、ゲームボーイのゲームもプレイ可能なので、ドラクエIII以外でも楽しめるかな、と思ったほか、ドラクエの「I」と「II」もリニューアル発売されるようなので、これは買うしかない!と決意したのです。

 いや、本来Switchは買う気がなかったのです。でも、どう考えてもこれからの30年の人生を思うと、「これは今、買った方がいいだろう」という結論に至りました。私は現在51歳。まぁ、あと30年ぐらいで死ぬでしょう。それまでの娯楽として、新しいゲームをやることは方向音痴のため無理。

 3Dのゲームって方向音痴には絶対にできないのです。だから古いゲームを大量に今の内に集めておき、これからの余生を集めたレトロゲームをプレイしながら生きるしかないのです。PS5などのゲームは、方向音痴にとっては非常に難易度が高い。結局、1980年代~90年代のゲームをやるしかない。

 そうした状況で、ドラクエIIIのリニューアル版は、方向音痴にもできるゲームのため「これは余生のために必要であるっ!」とばかりに購入。以後、Switchのケースやら収納箱やらいろいろ買い求め、久々の大型出費となりました。

 1970年代、ゲームセンターに入り浸った経験がある皆さまもおられると思いますが、本当に今の時代、Switchなどでその頃のゲームをダウンロードすることが可能になっています。「ギャラクシアン」「ギャラガ」「ゼビウス」「ストリートファイターII」などの懐かしいタイトルが並んでいるのですね。

 私自身、テレビを捨てて1年10カ月ほどになります。受動型のメディアは新聞・雑誌・ラジオにとどめているのですが、やはり人間はこれらに接した方が知識は増える。しかし、能動的に自分の手を動かし、頭を使うゲームというものは、娯楽としてもボケないためにも重要だと感じております。

 そういった意味で、今回Switchを買ったことはこれからの「ボケない人生」にとってもプラスになったのではないでしょうか。新し過ぎるゲームには食指が動かないにしても、1970年代のゲームもダウンロードできますので、Switchは今後の人生をボケずに楽しむにあたってもなかなかいいのでは。

 50歳を過ぎると残りの人生をいかに過ごすかを考えるようになりますが、そんな中、出会えたのがSwitchでした。結局人生は大いなる暇つぶし。現役から外れた場合はその暇な時間をどうつぶすかを考えるべきでしょう。

 11月14日以降、ネット上ではドラクエIIIのリメイク版の話題が多数出てくるでしょう。それは「トレンド」ともいえるものになると思われます。同じ時代に過ごすどこかの誰かが自分のプレイしているゲームに対してどのように向き合っているのかを知ることも、決して無駄なことではないと思います。むしろ、時代の流れを知ることができますから、最上の暇つぶしです。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

週刊新潮 2024年11月21日号掲載

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