「僕のことを大っ嫌いになるくらい厳しい言葉を言い続けます」 MVP「大谷翔平」を栗山監督が愛情たっぷりに語る

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 MLBで2年連続、3度目のMVPに輝いた大谷翔平。紛れもなく世界一の野球選手と認められた瞬間であった。その大谷をプロ入り以来、5年間見守ってきた、北海道日本ハムファイターズの栗山英樹監督(当時)。2017年オフ、大谷がメジャー移籍を決めた際、「週刊新潮」のインタビューに応じ、その素顔を明かしている(【前編】参照)。

 酒は呑めないのではなく「呑まない」、クリスマスイブの夜も1人でバッティング練習、そして恋愛沙汰が報じられたことはゼロ……。とびきりの優等生としか映らない大谷だが、時に感情を露わにする場面もあったという。

 以下、当時のインタビューを振り返り、大谷の原点に迫ってみよう。
(「週刊新潮」2018年1月4・11日号掲載記事を一部編集しました。文中の年齢、役職、年代表記等は当時のものです)【前後編の後編】

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 感情はマウンドにいる時だけ見せるんです。「交代だぞ」と言っても、「絶対代わりません!」ということは何度もありました。チームでは方針として「もう1回だけ投げさせてください」はなし、としています。それでも「泣き」を入れてくるのは翔平だけ。投手の時は戦うモードになってしまって周りが見えなくなるんでしょうね。それはそれで良いんですが。

 逆に打者の時は素直。何でも言うことを聞きますし、向こうから「送りましょうか?」とバントを申し出ることもあるくらいです。

 彼の性格で弱点、と言うより、心配したのは、やり過ぎてしまうこと。「無理です」と言えないことでした。

 こちらが出した宿題は何でも「やったります」と言ってしまうんです。極端な話、「全試合打者として打席に立って、ピッチャーもこなせ」と言えば、「わかりました」となっちゃうタイプ。

 ですから、今年、怪我をして1軍に帰ってきた時も「大丈夫です」と言って、トレーナー室の前で走っていましたからね。それを聞いて「ふざけんな。やめさせろ」と言いましたけど。その性格の上に、2つのことをやっていますから、やはり怪我が一番怖かった。

 メジャーに行くと、内角攻めが厳しくなる? う~ん、ピッチングコーチの(元メジャーリーガーの)吉井(理人)に聞くと「変に当てたりはしませんよ」と言いますし、その辺りは行ってみないとわかりません。

 日本では確かにデッドボールは少なかった(編集部注=5年間で4回)。見ていると、ピッチャーが絶対当てないようにしようとしているのがわかりましたね。バッターボックスで翔平を見た時、懸命さが伝わってきて、みんな「当てたくないな」と思うのではないでしょうか。それに、本人には、もしカッとしてもそういう表情は見せるな、と言ってきました。「睨んだりして恨まれるのは自分なんだから」と。また、こちらでも、当てられにくい空気を作るようにしていました。わざと「あのピッチャーは良いですよね。翔平のことを考えてしっかり勝負してくれるし」などとコメントしてね。でも、もしアメリカで厳しい内角攻めがあるとすれば、それは越えていかなければならない壁だと思います。

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