「綾鷹」「伊右衛門」「お~いお茶」…お茶系飲料メーカーに「PFAS」への対応を尋ねた結果
伊藤園、サントリー、コカ・コーラの回答は
まずは長年にわたり国内トップシェアを誇る「お~いお茶」。三ツ星チェックの結果は、「☆×2」だ。日本の水道水におけるPFASの暫定目標値「1リットルあたり50ナノグラム」をクリアし、検査の頻度まで具体的に示されたが、世界で最も厳しいアメリカの基準値「1リットルあたり4ナノグラム」には及ばないと判断された。製造元である伊藤園の回答は以下の通り。
〈当該製品を製造している全協力工場について、2023年から2024年にかけて検査を実施しております。検査頻度は原則年に1回で、全ての検査結果が暫定目標値未満であることを確認しております。恐れ入りますが検査証につきましては開示を控えさせていただきます。〉
なお、国内シェアNo.2の「伊右衛門」も、三ツ星チェックの結果は同じく「☆×2」。製造元であるサントリーHDから寄せられた回答は以下の通りだ。
〈製品の中身に使用する水については定期的に分析を実施しております。対象商品の製造工場で採水した、中味に使用する水は、年1回検査を実施しています。2024年についても検査結果はすべて水道水暫定目標値を十分に下回っていることを確認しています。当社は分析を自社で行っています。分析結果の詳細についてはご容赦ください。〉
両ブランドに一歩劣る結果となったのが、シェア3位「綾鷹」の「☆×1.5」である。国内の暫定目標値はクリアしている一方で、検査の頻度などは示されなかった。製造元の日本コカ・コーラは、
〈製品に使用する水の有機フッ素化合物について検査を実施し、自社製造工場において国が定めた暫定目標値を下回る事を確認しています。〉
としつつも、
〈検査結果の数値、調査日、採水地および検査頻度に関しては非開示とさせていただきます。検査証は非開示となります。〉
などと回答した。
「各社の回答を見ると、情報公開に対して消極的と言わざるを得ないですね」
そう嘆くのは、PFAS研究の第一人者で、京都大学大学院医学研究科の原田浩二准教授である。
「PFASの有無を検査していることは良いのですが、単に“検査している”だけでは十分な回答とは言えません。たとえば、“日本の『暫定目標値=1リットルあたり50ナノグラム』を下回っている”という回答が多いですが、これだけでは実際どの程度まで下回っているのかが分からない。PFASの各種研究が進んでいる欧米では、日本の『暫定目標値』ギリギリの濃度の飲料を常飲していた場合、人体への悪影響も懸念されていますし、健康上の問題が出る可能性は否定できていません。アメリカでは水道水におけるPFASは1リットルあたり4ナノグラム未満とする基準を置いています」
日本の基準をクリアしているからといって、必ずしも安全とは言い切れないのが実情なのだ。
「☆×3」を獲得したメーカーや、逆に☆が付かなかったメーカー、その他、お茶、麦茶、紅茶、「ウィルキンソン」に代表される炭酸水など合計178本の調査結果について、有料記事【発がん性物質「PFAS」 お茶・炭酸水系ペット飲料178本徹底調査 「三ツ星チェック」でわかった信頼できる製品「実名リスト」】で詳報している。
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