共産党が「除名」「除籍」を乱発して元党員が怒りの提訴…元幹部は「党内のリーダーシップに問題があることは明らか」と指摘
自己批判の強制はパワハラ──。共産・社会主義に関心のある人なら、隔世の感を覚えるだろう。読売新聞や産経新聞などは11月13日、日本共産党から除籍された元党福岡県常任委員の神谷貴行氏が党などを相手取り、東京地裁に提訴したと報じた。神谷氏は党員・党職員としての地位確認と、県委員会からパワハラなどの被害を受けたとして数百万円の損害賠償を求めている。
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【写真】今年7月の都知事選で物議をかもした「共産党」による“蓮舫・抱きつき”戦略の証拠写真
近年の共産党は除名や除籍を“乱発”し、多くの人々を呆れさせてきた。それでも共産党に反省している様子は見られず、それこそ自己批判が足りないのではないかと指摘したくなる。まずはなぜ神谷氏が除籍されてしまったのか、その原点から経緯を辿ってみよう。
共産党で要職を歴任してきた松竹伸幸氏が『シン・日本共産党宣言 ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由』(文春新書)を上梓したのは2023年1月のことだった。
松竹氏は党改革が急務だとし、党首公選制、自衛隊合憲、日米安保堅持など現実路線の転換を訴えた。すると共産党は翌2月、「党規約違反」と一方的に除名処分を下してしまったのだ。
議論さえ許さぬという共産党の高圧的な姿勢を朝日新聞が問題視し、社説「共産党員の除名 国民遠ざける異論封じ」を掲載。《党のあり方を真剣に考えての問題提起を、一方的に断罪するようなやり方は、異論を許さぬ強権体質としか映るまい》と強く批判した。
これに共産党は朝日新聞を攻撃するという暴挙に出る。当時は党委員長だった志位和夫氏が「朝日に指図されるいわれはない」と感情的に反論。その独善的な発言に呆れる声が続出したのは言うまでもないが、何と志位氏は当初、「産経に指図されるいわれはない」と社名を言い間違えていた。これで失笑も買ってしまう。
きっかけは松竹氏の除名問題
それでも共産党は除名・除籍処分の乱発を続ける。実は23年1月には、京都府内で長年、共産党活動に従事し、多くの党員から尊敬を集めていた鈴木元氏が「志位和夫委員長への手紙」(かもがわ出版)を上梓していた。やはり鈴木氏も著書で党首公選制を主張したため、共産党は3月に除名処分を下した。
さらに6月にはSNSで「党の閉鎖的で独善的なイメージを打ち破るには綱領を大きく変え、地道に活動するしかない」などと訴えた、兵庫県南あわじ市議だった蛭子智彦氏も除籍した。蛭子氏は《共産党はどの党よりも民主的と信じてきました。しかし長い時間党と過ごして信じる心がボロボロと壊れていく苦しみに今あります》と悲痛な叫びを投稿している。
そして共産党を提訴した神谷貴行氏は、松竹氏の除名に強い疑問を持っていた。担当記者が言う。
「神谷さんは京都大学に在学中、共産党系の全学連委員長を務めました。その後、党の専従職員として活動してきたほか、『紙屋高雪』のペンネームで漫画評論家としても知られています。ちなみに2018年、安倍政権の“論点ずらし”を揶揄する『ご飯論法』のネーミングに関わり、その年の新語・流行語大賞に選ばれたこともあります。そして神谷さんは松竹さんの除名問題に納得できなかったようなのです」
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