「暗い顔でため息ばかり」 外交を巡って批判続出の石破首相の現状…「相談できる相手がいない」

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執行部の態度を疑問視する声

【前後編の前編/後編を読む】「本予算が成立したら辞めてもらう」 石破首相退陣までのシナリオ… 現役議員に聞くと

 決選投票の末に首相に指名され、第2次石破内閣を発足させた石破茂首相(67)。側近不足でため息ばかりの首相は今後、衆院予算委員長などの重要ポストを野党に握られる中、厳しい政権運営を迫られる。その上、来年の参院選までの退陣は不可避とみられていて――。

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 今月11日に召集された特別国会で行われた首相指名選挙。決選投票で大量の無効票が生じる中、石破首相は何とか宰相の座を保持することに成功した。この先に待ち受ける厳しい政権運営のことを思ってか、首相に選出された際もその表情は硬かった。

 4日前に党本部で行われた自民両院議員懇談会も、石破首相にとっては針のむしろに座らされているようなものだった。その場には、重たい空気が漂っていた。

「懇談会では、始めに執行部から何の説明もなく、議員たちがいきなり発言させられる流れになり、総裁や幹事長はそれを聞いているだけでした。そのため“最初に総裁と幹事長から総選挙の敗因の総括があってしかるべきではないか”と執行部の態度を疑問視する声が複数の人から上がっていました」(出席した議員)

辞職を迫ったのは1名のみ

 手を挙げて発言したのは、当選したばかりの新人議員を含め、50人だったという。

「“解散のタイミングが総裁選で言っていたのと違う”とか“2000万円問題でとどめを刺された”など、選挙やその敗因に関する発言が多かったです。今回の大敗について石破さんは自分の責任だと思っていない、という見方もありますが、懇談会の場では“石破総裁のせいだ”とはっきり言った議員もいたので、さすがに認識を改めたのではないでしょうか」(同)

 ただし、そのような発言が出た際に“そうだそうだ!”といったやじが飛ぶこともなく、坦々と懇談会は進んでいった。そんな中、石破首相に辞職を迫ったのは、参議院議員の青山繁晴氏ただ一人だった。

「誰がやっても同じだから」

 青山氏が言う。

「懇談会で私は“石破総理のためにも、潔く辞意表明をなされるのが正しいことだと考えます”と申し上げました。総選挙は政権選択選挙です。そこで政権与党が大敗し、過半数を失ったのなら、党首である総理総裁は辞任しなければならないのです」

 他の議員が石破首相に「辞職」の二文字を突き付けなかったことについては、

「やはり、保身でしょう。様子見をしている。高市(早苗)さんは欠席したそうですが、いろいろなご都合があるにせよ、なぜ欠席なのか……」(同)

 政治ジャーナリストの青山和弘氏もこう話す。

「選挙で国民の信任を得られなかった以上、石破さんは常識的には辞めるべきだと思います。ただ、現状では石破おろしは起こっていません。それは、少数与党という環境が変わらない限り誰がやっても同じだからです」

 政治部デスクによると、

「高市さんや麻生(太郎)さんが石破おろしに動かないのは、放っておいても石破政権がガタガタになるのが目に見えているからです。すでに“終わっている”人を追い落すために力を使うのは無駄と考え、高市さんは『今は結束することが大事』などと無難なことを言っているのでしょう」

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