インドが「中国重視」に方向転換せざるを得ない事情 「タージマハル」がスモッグで消える…深刻な公害や食品価格の高騰で高まる国民の不満

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インドの米国離れが進む?

 インド政府は、米国やカナダ在住のシーク教徒殺害を巡っても西側諸国と確執が生じつつある。モディ氏は国内経済振興を優先し、中国重視の路線に舵を切ったのかもしれない。

 筆者は、トランプ次期政権の下でインドの米国離れが進むのではないかと考えている。

 強いリーダーが好まれるインドで高い人気を誇るトランプ氏だが、以前からインドの関税の高さを批判している。トランプ氏が掲げる関税政策(輸入品に対して10~20%の関税を課す)はインド側にとって到底受け入れられるものではない。

 トランプ政権の第1期で問題とされた就労ビザの件が再燃し、合法移民になるためのビザの発給数を制限するのではという推測もある(11月9日付Wedge ONLINE)。米国人の雇用を守る観点から、今後もインド人を合法移民として大量に受け入れることは困難だ。インド側はこれに猛反発するだろう。

 国際社会でのプレゼンスを高めるインド。その動向に今後も細心の注意を払うべきではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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