交渉期間は「わずか15日」との懸念も……メジャー球団舌なめずりでも「佐々木朗希」ポスティング移籍に立ちふさがる壁

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NPBの内規も

 こうしたメジャーリーグ側の事情だけでなく、NPBのポスティング・システムの規定も佐々木の契約に影響してくる。

 佐々木のポスティング・システムによる米球界挑戦が発表されたのは、11月9日だった。ファン感謝イベントが行われた17日時点で、ロッテ球団は「その申請が完了していない」と言っていたが、NPBが設けている締切り日は12月15日である。

 申請を受けてからの交渉期日は45日間と定められている。12月15日の締切り日に手続きが完了したとしても、上述の通り、契約交渉ができるのは年が明けた1月15日からとなる。24年度分のIBPをほぼ使い切ったMLB球団側からすれば、「1月15日まで本格的な交渉は待ってくれ」というのが本音だろう。とはいえ、期日は申請から45日間なので、1月29日となる。

 そもそもわずか15日間で、MLB30球団と本格的な交渉ができるのかと聞かれれば、答えは「ノー」だろう。ポスティング・システムの規定では45日の期日内に交渉がまとまらなかった場合、「在籍チームに帰還」となっている。

 佐々木の代理人は大手代理人事務所「ワッサーマン・メディア・グループ」のジョエル・ウルフ氏が担当すると複数の米メディアが報じている。ウルフ氏はダルビッシュ有、千賀滉大、鈴木誠也など多くの日本人選手を担当し、昨年も山本由伸とドジャースによる12年総額3億2500万ドル(当時のレートで約465億円)の契約をまとめてみせた。敏腕代理人の一人であり、1月15日以降の本格的交渉スタート前に、球団を絞り込んでくるものと思われる。

「経済誌・フォーブス(電子版)も『ウルフ氏が佐々木の代理人を務める予定だ』と報じています。『移籍交渉ではなく、リクルートだ』と言って、交渉の難しさも伝えていました」(前出・米国人ライター)

 その記事では、これまでの実績をもとにした売込み交渉にはならず、ドラフト指名された大学生を担当するような交渉になると予想していた。育成プラン、指導者の考え方、チームの雰囲気などを含めた「環境面」での競争になる。佐々木がどんな環境でやっていきたいのかを明確、かつ詳細に伝えておかなければ、ウルフ氏も交渉を前に進められない。ただ佐々木の性格だが、どちらかと言えば、「受け身」になることが多い。

「チームメイトとのお喋りを見ていると、自分から話題を振るようなタイプではありません。千葉ロッテでの5年間も、上(監督、コーチ)から『やれ』と言われてきたことを黙々とこなしてきた感じ」(スポーツ紙記者)

本人の意思だけで決められない

 メジャーリーグの移籍情報を扱う専門サイト『トレード・ルーマーズ』では「競争力、地理的な観点からドジャースが有利な立場にある」とし、米スポーツメディア『ジ・アスレチック』は、レッズやナショナルズでゼネラルマネージャーを務めたジム・ボーデン氏が「複数のメジャーリーグ関係者から得た情報だ」と前置きし、「ドジャースと契約する可能性は低い」とコメントしていた。ボーデン氏はさらにこうも語っていた。

「佐々木もスポンサー収入などによってお金を稼ぐことになる。ドジャースにはすでに大谷と山本が在籍しており、多くの日系のスポンサーがついている。その多くは大谷目当てで、山本が稼いだスポンサー収入はそれほど多くない。佐々木も大谷人気に飲み込まれてしまうだろう」

 佐々木自身の意思だけでは決められないというわけだ。

 メジャーリーグ各球団はこれまでに多くのスカウトを派遣し、佐々木の弱点や今後の課題も把握している。体力不足は否めず、1、2ヶ月はローテーションで投げさせて、その後はマイナーで休養させるプランも聞かれるようになった。

「下位チームにいけば、1年目からエース扱いもされるでしょう。ドラフト指名された大学生であれば、マイナー施設や育成プランを確認するだけですが、佐々木は契約前からスター選手になっています。1年目をマイナーでの育成だけに充てることはできません。公式戦で投げさせながらの育成になるので、各球団とも異なるプランを出してくるでしょう。選択は難しくなります」(前出・米国人ライター)

 佐々木は来年1月15日からの“リクルート活動”で、どんな結論を出すのか――。

デイリー新潮編集部

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