交渉期間は「わずか15日」との懸念も……メジャー球団舌なめずりでも「佐々木朗希」ポスティング移籍に立ちふさがる壁
契約を巡る複雑な立場
千葉ロッテが佐々木朗希(23)のポスティング・システムによるメジャーリーグ挑戦を認めた。佐々木は11月17日に行われたファン感謝イベントに姿を見せ、ZOZOマリンスタジアムに詰め掛けたファンに惜別の挨拶をしたが、記者団からの会見要請には応じなかった。
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どのような選択基準を持ってメジャーでの交渉に臨むのか。希望する球団や現地での生活など、本人の希望は全く分からないが、迎える側であるメジャーリーグ内での争奪戦は加熱しているようだ。
全米唯一の全国紙である「USA TODAY」は、佐々木に関し、「25歳未満、海外プロリーグ在籍6年以下」の選手に適用されるMLB労使協定の規定(通称25歳ルール)を改めて紹介している。同ルールによってマネー戦争にならないことから、佐々木の才能と合わせて「低価格のランボルギーニか、スーパーの在庫処分に置かれたカシミアのスーツだ」とも伝え、こう結んでいる。
「(メジャーリーグの)全30球団が唯一狙える目玉選手である」(11月11日付)
佐々木は19年ドラフト会議で指名されたときから、ロッテに対し、入団5年目オフの米球界挑戦を訴えてきた。このオフでようやく……とはいかず、彼の夢が実現するまでは、もうひと波乱が起こりそうである。
「マネー戦争にならないので、全球団が興味を示しているのは本当です。ただ、これはあくまで“現時点の話”。12月から来年1月にかけて、契約を巡る日程の大きな問題があるのです」(米国人ライター)
「25歳ルール」が適用される佐々木はマイナー契約しか結べない。しかも契約金と年俸はメジャー球団が海外の25歳未満の選手との契約で費やすことのできる、「インターナショナル・ボーナス・プール(以下IBP)」という、定められた金額内からしか出すことができない。
「IBPはMLB機構が毎年、各球団に割り当てます。30球団均等ではなく、マイナー施設の規模などによって、多少の差が発生しますが、1球団あたり700万ドル(約10億8000万円)くらいです」(前出・同)
今季(24年度分)のIBPが250万(約3億8000万円)ドル以上残っているのがドジャースで、「オリオールズ、ヤンキースも100万ドル以上残っている」(現地記者)という。24年度分のIBPであれば、米メディアが報じているように、マネー戦争にはならないのだが、来年度となると話は別になる。
一般にメジャー球団が海外選手と契約できるのは、1月15日から12月15日まで。つまり12月16日から年明け1月14日までは契約できない。今年の12月15日までに契約がまとまらなかった場合は、新年度となる来年1月15日以降となるが、IBPは当該年度に限ることになっており、来季に入ると新たなIBPでの交渉となる。
米スポーツ専門サイトESPNによれば、来季のIBPの振り分け額はマリナーズ、レイズなど8球団が755万5500ドル(約11億6000万円)が最高で、最少はジャイアンツの514万6200ドル(約7億9000万円)になるという。
「大谷翔平(30)が23歳でエンゼルスと契約したときは、231万5000ドル(約2億6000万円/レートは当時)でした」(前出・同)
年内か、来年か。契約時期によっては、佐々木の契約も変わってくる。ちなみに佐々木と契約を交わした球団は、契約金の25%に相当する金額を千葉ロッテに支払う。
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