既婚者なのを隠して「28歳の女性」と不倫、別れは手紙で一方的に…「言う必要ないかと」45歳夫の罪
沙綾さんとの出会い
1年ほどはなにごともなく過ぎていったが、2年目に入るとだんだん忙しくなり、週末に帰れなくなることもあった。納期に間に合わせるためにがんばるしかない。そんなときだからこそ、なのだろうか。帰宅途中、たまたま夜遅くまでやっているスーパーに車で寄ったとき、駐車場で女性が男性と揉めているところに出くわした。彼は女性を助けて車に乗せた。
「彼女は紗綾という名前で28歳。揉めていた相手は元カレだそう。数日前に彼女から別れ話をしたら納得せず、しつこくされているとか。ストーカー化したら大変だから警察に行ったほうがいいと勧めました。彼女は『今日はとりあえず帰りたい』というのでアパートまで送っていきました。僕の携帯電話の番号だけ教えて、なにかあったら相談に乗るからと、その日はそのまま帰りました」
翌日、彼女から電話がかかってきた。警察に行ってきた、昨日のお礼に食事をごちそうしたい、と。そこで会う約束などしなければよかったのだ。だが彼は、紗綾さんの誘いに乗ってしまった。自宅に帰れない寂しさもあったのだろう。
「女性とふたりきりで食事をするなんて、何年ぶりかわからないくらいだったから、なんだか僕も舞い上がってしまって。僕の住んでいるところと彼女の自宅は車で30分くらいあったので、会社の人間に見つかることもないだろうと、さらに少し遠いところまで食事に行きました。車だからお酒も飲まないし、彼女とどうにかなるなんていうことはあり得ない。ただ、若い女性と食事をするだけ。でもなんだかうれしかった」
「結婚は?」と聞かれ…
思えば恋愛などほとんど縁のない人生だった。異性を好きになったとき、自分がどんな感情になるのか、どういう行動に出るのかの経験値がなかった。相手の気持ちを想像することすらできなかったと彼は言う。
「その日の帰りに、うちでコーヒーでもと誘われて上がってしまった。今思えば、彼女に恋をしたんです、生まれて初めての恋。由佳里への信頼感や、息子に対する庇護の気持ちとも違う。絶対的な愛情で結ばれていたクンとも少し違う。この人と深い関係になりたいという性欲と独占欲、さらにはこの人にかっこいいと思われたい見栄とか、好かれたい浅ましさとか、いろんなものがごっちゃになっていました。それが恋愛なのかと言われると、人は違うかもしれないけど、僕自身はこれが恋だと思い込んだ。思い込めたら突っ走ることになってしまったんでしょうけど」
コーヒーを飲みながら、いろいろな話をした。紗綾さんに「結婚は?」と聞かれ、允紀さんは「バツイチ」と答えた。それは嘘ではなかった。だが、今現在、結婚していることは言いそびれた。
「彼女の目が星みたいにキラキラしていて、正直、襲いかかりたいくらいでした。でも彼女に愛されたかったから、それは我慢しなければと思って。たぶん、高校生の男子みたいな感じだったんじゃないかと思います」
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