「これほどまでに表情豊かな犬がいるのか」 ノンフィクションライター・濱野ちひろ氏が今も忘れられない「種族を超えた会話」
1年ぶりの再会
彼女との別れは心に穴を作ったが、日常の煩雑さに紛れて塞がった。1年ぶりに再びアメリカのステフの家に行くことになったとき、その穴は再び現れて、覚えてくれているだろうかという不安に変わった。
いざ玄関の扉を開くと、スパイスとシンバはただ尻尾を振り私を迎え入れた。1年の不在など気にもならない、と。彼らは彼らの生きる力で距離も時間も超えてみせる。言葉を超えるその強い力に、私は憧れ、救われる。
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