「これほどまでに表情豊かな犬がいるのか」 ノンフィクションライター・濱野ちひろ氏が今も忘れられない「種族を超えた会話」

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1年ぶりの再会

 彼女との別れは心に穴を作ったが、日常の煩雑さに紛れて塞がった。1年ぶりに再びアメリカのステフの家に行くことになったとき、その穴は再び現れて、覚えてくれているだろうかという不安に変わった。

 いざ玄関の扉を開くと、スパイスとシンバはただ尻尾を振り私を迎え入れた。1年の不在など気にもならない、と。彼らは彼らの生きる力で距離も時間も超えてみせる。言葉を超えるその強い力に、私は憧れ、救われる。

濱野ちひろ(はまの・ちひろ)
1977年生まれ。ノンフィクションライター。『聖なるズー』で第17回開高健ノンフィクション賞を受賞。

デイリー新潮編集部

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