「これほどまでに表情豊かな犬がいるのか」 ノンフィクションライター・濱野ちひろ氏が今も忘れられない「種族を超えた会話」

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路地で育った2頭の雑種犬

『聖なるズー』で第17回開高健ノンフィクション賞を受賞した、ノンフィクションライターの濱野ちひろさん。動物性愛を詳らかにひもとき著書に昇華した彼女が、プエルトリコの路地で育った2頭の雑種犬と交わす、種族を超えた会話とは。

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 もう一度必ず会いたい、と思った。彼女はそんなことには気付かないで、ハグをせがんだ。急いでいたから私は軽く彼女の体に触れて、また会おうねと念じたのだった。玄関を飛び出し車に乗ると、すでに心に寂しさが巣くっていた。...

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