シンデレラボーイが消える? 出場人数縮小…ゴルフPGAツアーの「スリム化計画」が失わせるもの
新制度下でのシード選手は100名
PGAツアーから提案されたスリム化計画は、こんな内容だ。
現在はフェデックスカップ・ランキングの上位125名が翌年の出場資格を獲得し、「シード選手」とされている。だが、新制度下では、この人数が100名となる。
各大会に出場できる選手の人数も、現在は最大156名だが、新たな制度の下では、試合に応じて120名~132名、最大でも144名までに抑えられる。
下部ツアーのコーンフェリーツアーからPGAツアーへ昇格できる人数は、現行のトップ30からトップ20へと一気に縮小され、Qスクール(予選会)からの昇格も現行の「上位5位タイまで」から「上位5名のみ」に狭められる。
また、スポンサー推薦やマンデー予選からの試合出場枠も、4名前後が1~2名に減らされ、ゼロとなる試合もあるという。
マキロイは大歓迎だが
たとえシード選手が100名に減らされても、シード落ちを心配する必要がないトッププレーヤーにとって、試合進行をスムーズにしてくれるであろうスリム化はウェルカムのはずである。
その証拠に、世界ランキング3位のローリー・マキロイは「選手の人数は少なければ少ないほど、競争がレベルアップするから好ましい」と手放しで絶賛している。
だが、米メディアの試算によると、マキロイのように喜べる選手は、フェデックスカップ・ランキングのせいぜいトップ50以内の選手のみ。50位以下の選手は、従来なら出場できるはずだった試合がスリム化によって出られなくなるなど、何かしらの影響を受けるという。
シード落ちの瀬戸際を行き来している選手たち、あるいは下部ツアーなどの草の根で必死に腕を磨きながら「いつかは自分も」とPGAツアーへの昇格を目指している選手たちにとっては、このスリム化はまさに死活問題である。
とはいえ、アスリートの世界は弱肉強食。常にサバイバルな戦いであることは言うまでもない。しかし、「あと一歩でPGAツアーに手が届く。来年こそは」という感触をようやく掴んだ選手が、その途端、制度が変更されて、「あと一歩」だったものが二歩も三歩も遠ざけられてしまったら、それはあまりにも酷というものである。
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