シンデレラボーイが消える? 出場人数縮小…ゴルフPGAツアーの「スリム化計画」が失わせるもの
最大の目的は「日没サスペンデッド対策」
PGAツアーといえば、「大観衆が詰め寄せた賑やかな試合会場で世界のトッププレーヤーたちが熱戦を繰り広げる」といったイメージが抱かれている。
しかし、2026年からは、もしかしたらそのイメージが少々変わってしまうかもしれない。
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というのも、PGAツアーはシード選手の人数や各試合の出場人数、下部ツアーからPGAツアーへ昇格できる人数、スポンサー推薦やマンデー予選から試合に出場できる人数もすべて減らす「スリム化計画」を17ページにも及ぶ書類に記し、10月末に全選手に提案済みだからだ。
11月18日の理事会で承認されたら、このスリム化計画は2026年から実施されることになる。ではなぜ、スリム化する必要があるのか。その最大の目的は「日没サスペンデッド対策」である。
現在のPGAツアーでは、悪天候などで試合進行が一時的にストップされると、その日のうちに全選手が18ホールを終了できないうちに日没を迎え、残りのプレーが翌日に持ち越されるという事態が頻発しているからだ。
全体の4分の1が不規則進行
ひとたび不規則進行になると、翌日も翌々日もすべて不規則進行になりがちだ。そうなってしまうと、選手もキャディも大会関係者も休む間もなく次のラウンドに突入するという大忙しの進行を強いられる。睡眠時間もゆっくり食事をする時間もなくなり、誰もが疲労困憊してしまう。
日曜日に72ホールが終了できず、月曜日まで持ち越されれば、選手もキャディも関係者も、滞在費をはじめとする費用が膨れ上がる。TV中継のスケジュールも必然的に乱れるなど、多くの事柄が「困った事態」になる 。
実際、今季のPGAツアーにおいて、1日でも日没サスペンデッドになった試合は、全体の28%を記録した。「全体の4分の1が不規則進行」というゆゆしき事態を打開したいと常々考えていたPGAツアーと選手会が、思案を重ね、なんとか捻り出した苦肉の策。それが、選手の人数を減らすという「縮小策」「スリム化」である。
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