暴走車両が35人をはね殺した戦慄の現場…もはや中国が隠蔽しきれない無差別テロ「報復社会」の連鎖

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無惨な現場をとらえた複数の動画

 11日夜7時48分頃に広東省珠海市で発生したオフロードSUV車暴走は、発生直後から複数の動画が中国のSNSに投稿された。警察や救急が到着する前とあってその現場は見るも無惨だ。

 街灯の下、広範囲にわたって倒れているおびただしい数の人影。大量に出血している人、手足が折れたのか倒れたまま動けずに固まっているグループ、手足の向きが不自然に曲がったままぴくりとも動かない人もいる。

 別の動画には、懸命の心臓マッサージを続けたり、動かなくなった人を呆然と見下ろしていたり、肩を借りて足を引きずりながら移動する人々の姿が映し出されている。その様子はまるで戦いに巻き込まれた一般市民のよう。さらに別の動画では、明らかに人がいる方向へ猛スピードで突入する車も確認できる。

 珠海公安の正式発表では「35人死亡、43人負傷」。これほど多くの死傷者が出た理由は、事件現場と彼らが着用していたジャージなどから推測できるだろう。

スポーツ熱が仇に?

 スポーツ熱が高い中国では近年、揃いのジャージ姿で歩くウォーキングサークルが人気を集めている。今年8月に実施されたアンケートによれば、人気のスポーツ1位はランニング、2位はウォーキングだった。

 ウォーキングサークルは「徒歩隊」などと呼ばれ、平日は地域の広場などに集まる。ただし、日本のように各自のペースでウォーキングするのではない。先頭で旗やプラカードを掲げ、運動会の入場のように隊列を組み、歩調を合わせて行進するという独自のスタイルが多い。

 事件現場となった珠海スポーツセンターは、スタジアムの周囲に設けられたランニング用トラックに多数の「徒歩隊」やジョガーが集まる有名スポットだった。中国SNSに投稿された動画を見ると、まさに事件現場となった場所で意気揚々と歩く「徒歩隊」が映っている。また、中国のスポーツ系サークルの活動時間は多くは朝と終業後の夜。香港の南、マカオの北に位置する珠海は日中の気温が高いためなおさらだ。

 容疑者の車がこうした「徒歩隊」たちに突っ込んだため、夜でも多数の死傷者が出たようだ。中国SNSのある公式アカウントが投稿し、後に削除された事件の詳報によれば、事件直前の「夜7時半頃、参加者たちは3人1組で6つのチームに分かれ、約10メートル間隔でトラックに沿って歩き始めた。その周囲では多数の人たちがダンスをしていた」という。加えて、事件後の現場には「徒歩隊」の旗が残されていた。

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