爆上げは続くのか? 米国株のプロが予想する「トランプ2.0で起きること」
再びの規制緩和へ
共和党が下院、上院、そしてホワイトハウスを支配する「トリプルレッド」となった場合、トランプ政策の実現可能の確率が大きく高まることになります。トランプ氏は法人税をこれまでの21%から15%に減税すると公約に掲げています。大統領の就任後に速やかに減税が行われる可能性もあり、その分、米国企業の業績は上方修正されるはずです。
GAFAM(Google、Apple、Facebook(Meta)、Amazon、Microsoft)のようなグローバル企業は、低税率の国への利益移転を行うなどで実行税率を低くすることが可能であるため、減税はそのようなテクニックを使えない中小企業の方が恩恵を受ける傾向にあります。
そうした事情もあり、選挙の翌日から11日までにS&P500は3.78%上昇に対し、小型株指数のラッセル2000は7.7%上昇したのです。今後数年間、トランプ政権下においては、小型株の方が大型株より高いリターンを上げると考えています。
トランプ2.0のもとでは、規制緩和を積極的に行っていくと考えられます。ビジネス寄りの政策を持つ共和党のトランプ氏は、2016年に大統領になった際、様々な業界の規制緩和を行いましたが、次期政権でバイデン氏は規制を強化する方針を取りました。今度はそれを再び緩和する政策を行っていくことになりそうです。
GAFAMのトップが続々と祝電を
投資家の皆さんが最も関心を寄せるのは、GAFAMに代表されるグローバルテクノロジー企業ではないでしょうか。
2021年、バイデン大統領がリナ・カーン氏を連邦取引委員会(FTC)委員長に任命して以来、GAFAMをはじめとする巨大テクノロジー企業への規制が強化されてきましたが、トランプ氏が再び大統領に就任すれば、カーン氏は解任されるか、自ら辞任すると見られています。
その結果、GAFAMに対する政府の姿勢が和らぐ可能性があると予想されています。現在テクノロジー企業に対する訴訟が多く行われていますが、共和党政権下では既存の訴訟が和解に向かうのではないかと見られています。
2016年に第一次トランプ政権が誕生した際には、GAFAM企業の対応は冷ややかなもので好意的ではありませんでした。それが、今回はアップルのティム・クックCEOを始め、アルファベットのサンダー・ピチャイCEO、メタのマーク・ザッカーバーグCEOなどが祝電を送っているのです。
アマゾンの設立者のジェフ・ベゾスは、個人的にアメリカの有力新聞「ワシントン・ポスト」を所有しています。選挙前、同紙はハリス候補を支持する社説を用意していましたが、ベゾス氏はその原稿を記事にさせなかったのです。これは明らかにトランプ氏に対する配慮で、彼の機嫌を損ねないための対応です。
彼ら経営者たちは前回の苦い経験がありますから、今回は皆さん賢くなって上手な対応をしたということです。
トランプ氏も残り4年で歴史に残るレガシーを作り、米国経済の成長を成し遂げるためには彼らの手助けが必要ですし、GAFAM企業も米国大統領と仲が悪いのは得策ではないことを学んだということだと思います。
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