「人民日報」社説はまるでトランプの“ご機嫌取り”…「関税60%」男の当選で戦々恐々とする「習近平」 台湾封鎖なら関税は「200%」の恐怖
経済成長率は半減
スイスに設立された多国籍投資銀行および金融サービス企業「UBS Group AG」は、この措置が実現すれば中国の経済成長率が半減すると予想している。国際通貨基金(IMF)は現在、2024年の中国経済の成長率を「4.8%」と予想しているが、60%関税によって、中国の経済成長率は半減の「2.4%」に落ち込んでしまう計算だ。
中国の現在の経済状態は決して良いとは言えず、今年7~9月期の実質GDP成長率は前年比+4.6%と2四半期連続で前期から増加幅が縮小している。個人消費が低迷して景気を押し下げている状態だ。このようななかで、米政府による「60%関税」は習近平指導部にとって極めて深刻な問題だ。
しかし、トランプ次期政権の政権移行チームでは、その準備を行っているとみられ、その中心人物として、第1次トランプ政権で米国通商代表部を務めたロバート・ライトハイザー氏が次期USTR(通商代表部)代表もしくは国務長官の座に就くことが有力視されている。国務長官候補としては、元駐日大使のハガディ上院議員の名前も出ているが、いずれにせよ、両者とも対中強硬派として知られており、どちらが就任しても、中国にとっては厳しい対応を迫られることになる。
台湾問題が争点に
一方、中国にとって、トランプ次期政権発足に伴う“火種”とみられるのが台湾問題だ。習氏が2027年8月1日の建軍100周年という節目に台湾侵攻作戦を断行するとの予測について、このところ米軍や米政府の高官がしばしば発言している。
米インド太平洋軍のジョン・アキリーノ司令官は今年3月20日、米下院軍事委員会に出席し、中国軍が2027年までに台湾に侵攻しようとする目標を達成しつつあることを「あらゆる兆候が示している」と証言した。
また、米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官も昨年2月、米ワシントンでの講演で、「習近平国家主席が『2027年までに台湾侵攻を成功させる準備』を軍に指示した情報を把握している」とも指摘している。
米海軍作戦部長のリサ・フランケッティ大将も今年9月18日、米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」で講演し、「中国人民解放軍が建軍100周年に当たる2027年に台湾侵攻を断行し、米中両軍が戦火を交える可能性がある」などと語っている。
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