「人民日報」社説はまるでトランプの“ご機嫌取り”…「関税60%」男の当選で戦々恐々とする「習近平」 台湾封鎖なら関税は「200%」の恐怖

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 米大統領選でドナルド・トランプ氏が11月6日、当選を確実にした。中国の習近平国家主席は間髪を入れずに同日夜、北京・中南海で対米外交・通商問題の担当者や専門家を中心とした会議を開催し、今後の対策を協議した。トランプ氏が公約に掲げた「中国製品に関税60%」などの対策や報復措置などが協議されたものの、当面は様子見でトランプ氏を刺激するような言動は慎むことで一致しており、トランプ氏の動向に戦々恐々といった印象が強い。

 一方、トランプ氏は当選早々、政権移行チームを始動させ、バイデン政権からの引継ぎや次期政権での政策の策定、主要人事に着手した。移行チームの安全保障や通商分野に対中強硬派が目立っており、対中貿易赤字削減のほか、安全保障面では習氏が強調する「台湾統一」を目指した軍事作戦への対応も焦点となるとみられる。
【相馬勝/ジャーナリスト】

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 消息筋によると、中南海での会議では今後の対米政策を協議したほか、トランプ大統領に送る習氏の祝電や、8日付の党機関紙「人民日報」の社説に相当する論評「鐘声(中国の声欄)」の内容も吟味した。

 祝電の内容は一言でいえば「安定的で、健全、持続可能な発展の米中関係を望む」というもので、冒頭部分は「歴史が示すように、中米(米中)両国は和すれば共に利し、争えば共に傷つく」と主張している。「鐘声」も冒頭部分で「中米(米中)関係を安定させ、改善し、前進させることは、歴史、人民、そして世界に対して責任を持つ正しい選択である」と指摘するなど、いずれも米中関係の安定と発展、両国の繁栄の維持を強調している。

 対日交渉などでは常に強気で、高飛車とも思える態度をとる中国としては、この習氏の祝電や「鐘声」のトーンは極めて低姿勢で、いわばトランプ氏のご機嫌を取っているような印象すら抱かせるものだ。なぜならば、米国は対中貿易で年間5,000億ドルを超える最大の輸出先だからで、中国にとって対米貿易は経済の生命線ともいえるものだからだ。

 しかし、来年1月20日のトランプ新政権発足後、習氏が望むような「安定的で、健全、持続可能な発展の米中関係」が実現するかどうかは、大統領選挙期間中のトランプ氏の発言から考えると、極めて難しいと判断せざるを得ないだろう。

対中関税60%

 なぜならば、トランプ氏は第1期目の大統領時代、米中両国間が関税問題で対立していた2018年7月以降に、米国の1974年通商法301条に基づき、中国原産品に対して段階的に追加関税を課しているからだ。米中両国は相互に報復合戦を演じ、関税は最終的にほぼすべての商品をカバーすることになった。 過去4年間、バイデン政権はトランプ政権時代に中国に対する新たな関税を引き下げておらず、高止まりが続いている。

 さらに、トランプ氏は今年の大統領選挙運動期間中に再び関税を「経済の万能薬」として賞賛し、関税は米国政府に莫大な収入をもたらすだけでなく、米国企業を海外の競争から保護することができると指摘し、中国からの輸入品に60%の関税をかけるとの公約を掲げている。

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