「破滅的消費」で憂さ晴らし、経済事情で「即同棲」…アメリカ経済を苦境に陥れる“若者たちの抑圧”

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憂さ晴らしのための過大消費か

 アリゾナ・クリスチャン大学の調査結果によれば、米国の若年層の3分の1がなんらかの精神疾患を抱えているという。

 また、ナイト財団と市場調査コンサルティング企業のイプソスによる調査(8月発表)で70%の学生が「言論がもたらすダメージは物理的な暴力と同様だ」と回答したことが示すように、他者とのコミュニケーションは現在の若者にとって大きな苦痛となっているようだ。

 映画「シビル・ウォー アメリカ最後の日」のアレックス・ガーランド監督も来日時のインタビューで、米国には不寛容な若者が増えているという認識を示した。その上で「対話が機能不全に陥っている状況を浮き彫りにするために本映画を撮った」と製作動機を開陳している(10月5日付現代ビジネスオンライン)。

 精神的に追い詰められた若者が、後先考えずに一時の憂さ晴らしのために過大な消費をしているのではないかと思えてならない。そのような状況を見るにつけ、米国の若者たちにとって「アメリカンドリーム」ほどむなしく響く言葉はないと感じる。

 若者たちを取り巻く環境が悪化し続ける限り、米国経済が苦境に陥るのは時間の問題なのではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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