「宝塚音楽学校」はなぜ入学資格から「容姿端麗」を削除したのか 昨年度の倍率は“今世紀ワースト”に
タカラジェンヌの養成所である宝塚音楽学校の2025年度の生徒募集が始まった。その応募資格から「容姿端麗」がなくなり、代わりに「心身ともに健康」が加わった。タカラジェンヌはどうなってしまうのか。
***
【写真をみる】額に黒いやけどの跡が… 応募者を激減させた「宝塚パワハラ問題」を物語る証拠写真
宝塚音楽学校といえば「東の東大、西の宝塚」と称されるほどの狭き門で知られる。募集人員はわずか40名で、受験できるのは中学3年生から高校3年生までの女性。昨年度まで応募資格には《容姿端麗で卒業後に宝塚歌劇団生徒として舞台人に適する方》とあった。
ところが、来年4月入学の第113期生の応募資格には《心身ともに健康で、卒業後宝塚歌劇団生として舞台人に適する方》とあるのだ。つまり、容姿端麗でなくても構わないということだろうか。半世紀近く宝塚歌劇団を見てきた演劇ライターは言う。
「一般の会社では、女性を容姿で判断するのは許されないことでしょう。しかし、ステージに立って夢を売るのが宝塚歌劇団です。容姿端麗でなければ成立しませんよ。それが証拠に、公式ホームページの《入学試験について》には、審査内容として《面接では、容姿、口跡、動作、態度、華やかさ等、宝塚歌劇の舞台への適性を審査します》と明記されています」
確かにそうなっているが、そもそも客席からもわかるほどの大きな付けまつげと濃い化粧だ。容姿はどのくらい問題なになるのだろうか。
「化粧映えというのもありますからね。ですから、タカラジェンヌにとって容姿は、かなり重要だと思います」
ではなぜ、容姿端麗を省いたのだろう。
問題山積
「時代の流れでしょうね。応募資格に明記したら外見至上主義と指摘されかねませんから、そのような言葉を外しただけでしょう。宝塚歌劇団では昨年9月、宙組所属の25歳の団員がパワハラやイジメなどが原因で亡くなり、当初はそれを否定していたものの結局は謝罪しました。現在、改革を進めている最中なので、その一環と考えることもできます。そもそも宝塚は、音楽学校も歌劇団も様々な問題を抱えていますから」
具体的にはどのような問題があるのだろう。
「たとえば“ヅカルール”。2年制の音楽学校では、1年生の予科生は先輩が乗っているかもしれない阪急電車に一礼するとか、遠くにいる先輩にも大声であいさつ、先輩への返事は『はい』か『いいえ』、『すみませんでした』のみなどという暗黙のルールが数年前に話題になりました。現在は撤廃されたということですが、明文化されたルールではないので他に暗黙のルールはないのかという疑問も残ります。また、歌劇団は昨年9月、西宮労働基準監督署から、入団6年以上でフリーランス契約となる団員の労働環境について是正の勧告も受けています。さらに、厳しめの劇評を書いた評論家に対して招待状の送付を中止するといったこともありました。第三者からの叱責を認めないという閉鎖的なところもあります」
[1/2ページ]