阪神ファンがカップラーメンを投げ入れた…「日本シリーズ指笛騒動」以前もあった観客の信じられない“妨害行為”

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 日本シリーズ第3戦でDeNA・東克樹が観客の指笛を「投球モーションに入ったタイミングでやるのはやめてください」と訴えたことが波紋を呼んだ。そして、過去には指笛以上に顰蹙を買った観客の妨害行為もたびたびあった。【久保田龍雄/ライター】

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現ロッテ監督・吉井理人を襲ったレーザー光線

 スタンドから放たれたレーザー光線を目に受け、思うような投球ができなくなったのが、ヤクルト時代の吉井理人(現・ロッテ監督)である。

 1997年8月5日に大阪ドーム(現・京セラドーム)で行われた巨人戦、事件が起きたのは、4対2とリードしたヤクルトの3回の守備中だった。

 この日まで9勝を挙げ、3年連続二桁勝利に王手をかけた先発・吉井は、ガルベスの代打・大野倫を2球で2ストライクと追い込んだが、直後、一塁側から放たれた赤いレーザー光線が右目を直撃した。

「古田(敦也)のサインが見にくいなと思って、ふと上を見たとき、赤い光のようなものが右目に入ってきた。それからは右目に影ができたみたいで、集中力を欠いてしまった」

 吉井はすぐさま谷博球審を呼び、「やめさせてほしい」と訴えた。「目と目が合ってからニヤリとして、隣の人と話をしていた。何人いたかはわからないけど、中年の男でした」という吉井の証言をもとに、警備員120人が大捜索したが、結局、不審者は発見できずじまいだった。

 そして、この妨害行為が投球にも大きな影響を及ぼす。リズムを崩した吉井は直後2点を失い、この回限りで降板。その後も右目に赤い残像が残り、アイシングを施す羽目に。「今日は調子が良かったのに……。こんな(とんでもない)ことは初めて。ホント、踏んだり蹴ったりですよ」と心ないファンの妨害行為に怒り心頭だった。

 レーザー光線は、試合開始直後から何度か放たれていたようで、1回無死満塁で古田が打席に立ったときも、ヘルメットに赤い光線が当たっていた。谷球審も「古田の打席のとき、ストライクゾーンに親指大の赤い玉が見えた」と証言し、「甲子園でも同じようなことがあったと聞いている。ゆゆしき問題。今後は絶対やめてほしい」と注意を呼びかけた。

 状況的に犯人は巨人を勝たせようとして妨害したと推測され、試合は犯人の思惑どおり(?)、巨人が7対6と逆転勝ち。「いろいろな味方が巨人にはおる。巨人に勝つのは大変や……」と野村克也監督をボヤかせたが、前出の甲子園では巨人の選手が被害を受けており、もし犯人が同一人物なら、必ずしも巨人ファンというわけではないようだった。

テープを投げ入れ捕球を妨害!

 その甲子園では、1999年5月22日の阪神対巨人で、飛球を捕ろうとした外野手目がけてスタンドのファンがテープを投げ込む妨害事件も起きている。

 阪神が3対2とリードの6回1死、石井浩郎がレフトに長打性の大飛球を放った。桧山進次郎がフェンスにくっつく形で捕球態勢に入ったが、スタンド最前列から青いテープが投げ込まれ、捕球に失敗。二塁打になった。

 桧山は「(テープは)ボールにも顔にも当たっていませんが、視界に入りました。(左翼席のファンを)挑発することになるから、アピールはしませんでした」と少なからずプレーに影響があったことを証言した。

 だが、友寄正人二塁塁審は「こういう行為は絶対にやめてほしい」と注意喚起しながらも、「ボールが落ちたあと、テープが落ちたと判断したので、妨害行為とは思わなかった」という見解を示した。

 ここから試合の流れは巨人へ。元木大介の中前安打で1死一、三塁とチャンスを広げたあと、川相昌弘の遊ゴロで3対3の同点。阪神ファンにとっては「あれがなければ……」と納得できない思いだっただろう。

 だが、7回から登板した遠山奨志が再び流れを引き寄せる。この回を3者凡退に打ち取ると、8回1死一塁の打席でバットを折りながら左前安打を放ち、暴投による勝ち越し点に貢献。8回1死から福原忍にリレーして4対3で逃げ切り、NPB史上最長ブランク(当時)の10年ぶりの勝利投手になった。

 妨害行為に端を発した嫌なムードを一変させたプロ13年目の苦労人に、野村克也監督も「遠山は最高だね。アイ・ラブ遠山や。社長賞が出ないなら、監督賞ものだ」と最高の賛辞を贈っていた。

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