大役を務めた「芸人」は4人だけ…2年連続紅白司会の「有吉弘行」は恩人「内村光良」の後継者となるか

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「内村プロデュース」

 そんな有吉が、上島と同じくらい先輩として一目置いているのが内村である。有吉は、若手時代に猿岩石というコンビで大ブレークを果たした後、解散して仕事が一切なくなるというどん底の時期を経験した。そのときに唯一テレビに出られたのが、内村がMCを務める「内村プロデュース」という番組だった。

 当時の彼にとっては「内村プロデュース」が芸人としての命綱のような存在だった。そこで体を張って暴れたりする素行の悪いキャラクターを演じることで、彼の芸風が少しずつ業界内にも認知されるようになっていった。そして、それがのちの大躍進につながった。

「内村プロデュース」は、若手芸人が好き放題に暴れて、純粋に笑いを追求することができる貴重な番組だった。そんな番組が成り立っていたのは、芸人たちを温かい目で見守る大看板としての内村の存在があったからだ。

 内村の「優しく温かい目線」は、「紅白」の大舞台でも健在だった。2019年に内村が欅坂46とコラボして「不協和音」を披露した際には、激しいダンス中によろめくメンバーに対して、内村が「大丈夫?」と優しく声をかける姿が話題になっていた。

 紅白の司会を任された有吉が、この偉大な先輩の存在を意識していないわけがない。昨年は進行に徹していて、有吉らしい毒舌芸が見られる場面は少なかったが、2回目の今年はそのあたりにも変化があるかもしれない。「ポスト内村光良」の筆頭である有吉は、どんなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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