今クールで断トツと評判の「窪田正孝」学園ドラマとは 口コミで評判が広がり、どんどん高まるファン熱
社会問題も投影させる
第2回では藤竹のクラスの池本マリ(山崎七海)が、同じ机を使う全日制生徒の黒田玲奈(鎌田らい樹)から「私のペンケースを盗んだ」と疑いを掛けられる。寝耳に水のマリは「知らない」と繰り返し否定するが、玲奈は納得しない。
玲奈は定時制の放課後、再びマリに詰め寄る。マリが100均ショップで買ったペンケースしか持っていないことを知ると、嘲笑した上、それを壊した。
そのペンケースはマリの妹が貯金して買ってくれたものだった。マリの家は貧しく、彼女も家計を助けるためにホテルで働いていた。
マリは怒りに震え、カッターを手にする。玲奈を背後から襲おうとした。惨事を未然に防いだのはマリのクラスメートの越川アンジェラ(ガウ)である。玲奈にタックルをかけ、覆い被さった。
アンジェラは40代。フィリピン人のショーパブ店員だった母親と常連客の日本人との間に生まれた。今は夫とフィリピン料理店を営み、幸せに暮らしているが、中学には通っていない。母親も自分も不法滞在だった上、きょうだいの世話があったからだ。父親は消えてしまった。
アンジェラはもっと学びたいから定時制に入った。しかし、玲奈の両親はアンジェラの行為が暴行に当たるとして被害届を出すという。それを避けたいのなら、アンジェラを退学にしろと学校側に迫る。
「しょうがないわよね」。アンジェラは自主退学を決意する。マリのカッターのことは黙っていた。若くて勉強熱心なマリの未来を守りたかった。自分にもマリと同年代の1人娘がいたので、余計にその思いが強かった。
それを聞いた藤竹が厳しい口調で答える。
「投げ出す口実にしていませんか」
藤竹は自分で調べて、この件の全容を把握していた。一方で中学に通っていないアンジェラの成績が落ちていることを知っていた。アンジェラが無意識のうちに退学する理由を探していると見た。
藤竹は頭脳明晰なスーパー教師だが、それより強く惹き付けられるのは生徒をよく見ているところ。さらに生徒のために何が出来るかを懸命に考え、実行するところである。
どの生徒にも敬語を使うのも藤竹の特徴の1つ。生徒とは立場や年齢が違うだけで、人としては対等だと考えているからだろう。精神論や自慢話は一切口にしない。どんな職場にいても慕われるタイプだ。
玲奈のペンケース問題はほどなく解決した。盗んだのは玲奈の全日制の同級生だった。その盗品の売却を頼まれた後輩が名乗り出た。
後輩が声を上げた理由は定時制の生徒が日中の校庭で全日制の生徒に向けて呼び掛けたから。柳田である。
「ペンケースを盗んだ犯人、もしこの中にいるのなら、とっとと名乗り出ろや!」「こっちには退学になりそうな奴がいるんだよ!」
教師たちは慌てて止めたが、藤竹はうれしそうに笑っていた。アンジェラも科学部に入る。
[2/3ページ]