ロシアの最前線に送り込まれた「北朝鮮軍」が次々に“惨殺”…囚人兵と同じ“捨て駒”扱いの悲惨すぎる実態
アメリカのニューヨーク・タイムズは11月5日、「北朝鮮がウクライナとの戦闘に初めて参戦、当局者らが明らかに(North Korea enters Ukraine fight for first time, officials say)」との記事を配信した。同紙の報道によるとロシア国内のクルスク州で、ロシア軍と北朝鮮軍が共同で小規模な軍事作戦を実施。その際にウクライナ軍と限定的な交戦状態に入ったという。
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改めて時系列を整理しておこう。今年8月、ウクライナ軍はロシアの国境を越え、西部クルスク州に奇襲攻撃を行った。不意を突かれたロシア軍は敗走。今でも数十の集落を占領し、ウクライナ軍が駐留を続けている。
一方、北朝鮮軍は10月、船でロシア極東のウラジオストックに到着。そのままクルスク州に移動させられ、ロシア軍の軍服や武器を与えられると軍事訓練が行われた。担当記者が言う。
「派遣された北朝鮮軍の兵士は約1万人と見られており、その中には北朝鮮軍最強と言われる特殊部隊『暴風軍団』も含まれています。ニューヨーク・タイムズの報道によると、北朝鮮軍は攻撃部隊と、ウクライナ軍から奪還した占領地域を守る支援部隊の2つに別れているそうです。ウクライナ軍とクルクス州で交戦したのは、ロシア軍の第810海軍独立歩兵旅団と北朝鮮の兵士。合同で作戦に従事したところ、ウクライナ軍と戦闘状態に入りました。ウクライナ軍の占領地域で防御戦に手薄なところはないか、探るための索敵作戦だったと考えられています」
偵察が主任務だったにもかかわらず、北朝鮮軍は相当な被害を受けたようだ。ニューヨーク・タイムズの記事によると、ウクライナ側は死傷者の詳細を明らかにしなかったが、アメリカ当局は「相当数の北朝鮮兵士が死亡した」と取材に答えたという。
言葉の壁は致命傷
とうとう北朝鮮の兵士がウクライナ軍と交戦した。おまけに戦死者が出たというのだから、日本に限らず世界中の人々が驚いたのは当然だろう。だが、軍事作戦の専門家は少し違った視点から「正真正銘の異常事態」だと指摘する。軍事ジャーナリストが言う。
「もしロシア軍がまともな軍隊だったら、北朝鮮から『我々は援軍を派遣できます』と提案されたとしても、即座に断ったはずです。普通、自軍だけで作戦を遂行するにしても、複数の部隊が進軍するだけで綿密な意思疎通が必要です。もし半分がロシア兵、半分が北朝鮮兵といった部隊を編成したとして、ロシア語と朝鮮語ではコミュニケーションが成立しません。1秒で生死が分かれる最前線の戦場で、指揮官と兵士、さらに兵士同士で会話ができないというのは致命的な欠陥です。これなら民間軍事会社のワグネルが採用した囚人兵のほうが、言葉が通じるだけまだマシだと言えるでしょう」
アメリカ軍と韓国軍が行う米韓合同軍事演習で、上陸作戦がマスコミ向けに披露されることがある。揚陸艇が海岸に上陸し、中から米韓の海兵隊が出てくる様子をテレビニュースなどでご覧になった方も多いだろう。
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