韓国出店で鳥貴族が271分待ちの大行列 過去には吉野家や丸亀製麺が撤退も…日本外食チェーンの進出事情

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寿司チェーンも明暗

 実は先述のスシローの進出も順調とはいい難い。2011年に韓国に上陸した際、運営会社「スシロー韓国」は、「2016年までに58店舗、2018年までに80店舗を展開する」という目標を掲げたが、現在営業中の店舗と、閉店した店舗を合わせても19店にとどまっている。

 なぜ想定ほどの人気を得られなかったのか。「日本のスシローのほうがはるかにおいしい」という声は無視できない。日本と韓国の味の違いが大きく、期待外れだと感じる人が多かったのだろう。日刊紙の文化部記者もこういう。

「韓国には低価格の寿司チェーンが多い。スシローはそれに対抗するため味よりも低価格を優先した結果、日本のスシローよりも味のレベルが劣っていた。同様に『かっぱ寿司』も、韓国ではあまり人気がない」

 実際、かっぱ寿司は2009年に釜山に1号店をオープンしたものの、現在は全国に4店舗を構えるのみ。かろうじて生き残っている状況だ。

 一方、しっかりと足場を築いたチェーンもある。

「韓国の寿司マニアの中には、スシローよりも若干高いけれど、日本の味と大きな差を感じないという理由で『がってん寿司』を好む人が多い。韓国では大型マートや空港、デパート、繁華街などで25店舗を営業しており、集客力も高い」

 筆者も何度か日本人の知人を韓国のがってん寿司に連れていったことがある。皆「日本で食べているおいしい寿司と同じ」と高評価だった。

 韓国で定着した日本の外食チェーンでは、この「がってん寿司」と「 CoCo壱番屋」、「モスバーガー」くらいが成功例といえるだろうか。

 鳥貴族に関しては成功するという見立が根強い。先の記者はこう分析している。

「長期的な成功のカギは、やはり定期的に高まる“反日感情”を克服するほどの高いクオリティでしょう。そして、適正な価格、効果的なマーケティングということになる。しかし何より、市場を先占している韓国の有名チェーンが存在しない分野に進出することだと思う。鳥貴族の焼き鳥やCoCo壱番屋のカレーライスのように、韓国内で知名度が高い競合ブランドが存在しない、いわば韓国の空白分野なら、長期的に成功する可能性が高い」

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