韓国出店で鳥貴族が271分待ちの大行列 過去には吉野家や丸亀製麺が撤退も…日本外食チェーンの進出事情
過去には吉野家が撤退…キムチを別注文にしたから?
とはいえ、これまで日本の外食チェーンの多くが、韓国に進出するも長続きせずに撤退していた。たとえば「吉野家」は、韓国の大手企業「斗山」と提携し、1996年にソウル地下鉄2号線江南駅に1号店をオープンした。繁華街に130席を構える大型店舗での進出で当初は人気を博し、1997年末までに全国に10店舗を開店する計画も立てられた。
ところが、およそ2年後の1998年4月に、フランチャイズ契約を破棄して吉野家は撤退した。1997年末に通貨危機に見舞われ、韓国の経済状況が悪化し、提携していた斗山グループの負債比率が600%に達していたというのが主な原因だ。一方、吉野家の韓国進出の失敗に、他の理由を見出す指摘もある。
フランチャイズ専門家ユ・ジェウン氏が2000年に出版した『韓国市場のフランチャイズ戦略』によると、吉野家の失敗は「価格は一見、リーズナブルに見えるが量が少なく、韓国では無料で提供されるスープやキムチを別途注文しなければならないため、実際には高く感じられたのでは」と分析している。また「日本での成功だけを信じて、プルコギの味を韓国にそのまま持ち込んだことが失敗の一因」とも指摘している。
日本不買のあおりを受けた
「ほっともっと」も今年1月に韓国から撤退した。2012年に江南区狎鴎亭洞に直営1号店をオープンし、当初は「今後200~300店舗を韓国にオープンする」という目標を掲げていたが、フランチャイズ展開が不振だった。
筆者もフランチャイズに力を入れ出した2016年頃に、明洞近くの地下鉄2号線乙支路入口駅近くにあったほっともっとで弁当を購入した記憶がある。クオリティは高いものの、値段に対して量が少なく、「おなかがすいたときに食べる弁当ではない」と感じたのを覚えている。特に韓国には、同じくらいの価格で量が多い「ハンソッ弁当」などのライバルチェーン店がすでに存在していたから、撤退も当然の結果に映る。
「丸亀製麺」も韓国から撤退した企業のひとつ。進出当初は高い人気で、韓国で12店舗を展開していた。だが、日本の輸出管理規制に反発して起きた2019年の“日本製品不買運動”の影響で売上が落ち、その後は回復したものの、コロナ禍のあおりを受けて2021年8月に撤退した。
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