南こうせつが語った、26歳で「田舎暮らし」を始めた理由と健康の秘訣 「畑は妻と一からつくった宝物」

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桜が咲き、夏には蛍が出る「自然のど真ん中」

 それで30代に入って、地元大分で良い場所がないかと探していたら偶然巡り合ったのが、国東半島にある今の住処なんです。ちょうど海が見える丘の中腹のあたり、木々に囲まれているところに僕の家はあります。春が近づくと梅の花が咲いて、お次は桜がきれいに咲く。夏には蛍が出ることもあるような、まさに自然のど真ん中です。

 今もコンサートなどの音楽活動があるから、月の半分以上は全国を飛び回っているのですが、そこから大分空港に帰ってくると、その香りにいつもホッとします。

畑は「妻と一からつくった宝物」

 僕は家にいるときは、事前に予定を立てることはしません。朝起きて、「今日は何をしようかな」と考えていると、天命が下るんですよ。「庭の草刈りをしなさい」「畑に種を植えなさい」「ゴミをまとめて片づけなさい」って。自分で何か計画を立てるのではなく、その声に僕は従うだけ。え、寝ている間の妻の声だって? うーん、言われてみるとたしかにそうなのかもしれない……。

 敷地内には、広い畑があります。最初は大変だったけど、妻と一からつくった宝物。キュウリやナス、トマト、カボチャ、オクラ、豆類、それから大分名物のカボスと、八百屋さんで売られる野菜は一通り作っています。土壌の相性なのか、ナスがけっこう難しい。今年は猛暑の影響で、梅やカボスは例年の半分しか取れなかった。

 それから最近はメロンも植えてみたんだけど、実がなった頃に、丸々食べられていた形跡がありました。きっとイノシシが山から下りてきているんでしょう。山の開発が進んで、食べる物がなくなってきていることの表れでしょうか。

「気が向いたら、腹筋や腕立て伏せを5回やればいい」

 常に自然と触れ合っていると、良くも悪くもこういう環境の変化に対して敏感になる。何か自分ができることはないかと考えながらも、毎日自然に命を頂きながら生きています。

 派手で豪華なものではないけど、食生活はすごく豊かですよ。

 採れたての野菜はみずみずしくて本当においしいですし、近くの海で取れた魚も新鮮で、食卓を彩ってくれています。最近はあまりやらなくなりましたが、以前は朝から晩まで、ずっと釣りをしていたときもありました。「今日は満月かな」と思ったら、ワクワクしながら双眼鏡やら冷えた白ワインやらいろいろ用意して備えます。自分で育てた枝豆を添えて味わう“月見の一杯”は、もう最高ですね。

 今も元気に活動できているのは、こういう豊かな食生活があってこそなのかな。

 実は20代の頃から体重は変わっていないんですよ。無理な運動をしているわけでもなく、毎日続けているのは腹筋くらい。それも回数は決めず「気が向いたときに気が向いた分だけ」。いくら健康のためとはいっても、決め過ぎてしまっては生きるのが苦しくなってしまうでしょう。走るのが大変なら、歩いたり背伸びするだけだっていい。それで気が向いたら、腹筋や腕立て伏せを5回やればいい、と僕は思うんです。

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