リンゼイさん事件「市橋達也(45)」逮捕から15年…「ファンから現金の差し入れ」「足がバカ速くて運動会では大声援」知られざる“塀の中”の日常とは
丁寧な字で
「自分の洗濯ものに、ワッカ(札)のようなものをつけ、そこに自分のロッカー番号を書く。そのワッカを衣類に縫い付けることも俺らがやっていた。そこに市橋くんの称呼番号の衣類が来ると、みんな意地悪だから物凄く雑に、適当に縫う。あるとき、俺が市橋くんの衣類のワッカを丁寧に縫ってあげたんだ、それからずっと。すると、2ヵ月くらいしてから市橋くんの洗濯ものの袋に書いてある称呼番号の上に、丁寧な字で『市橋』って書くようになったんだよ。“丁寧に縫ってあるなあ”っていうのが多分、彼にはわかってるんだと思うな。それで、自分をアピールする意味と感謝の気持ちを込めて苗字を書くようになったと俺は思ってる。きれいに縫ってあれば誰でもうれしいからさ」
市橋受刑者の居室は、山内さんとは棟が異なったためほとんど顔を合わせることはなかったが、「市橋くんは多分、独居房にいたと思う」。ただ、荷物を運んだときなどに見かけたことがあり、
「特徴があるからすぐにわかったよ」
マスクをしているため表情まではわからなかったが、もさっとして下を向いていたという。
下獄する際、山内さんは10万円を持参し、領置金として刑務所側に預け、出所する際に残金は約3万6000円。使ったのは、筆記用具、便箋、ノート、パンツ、シャツ、靴下などの日用品だった。洗濯工場での報奨金は、およそ1年半で1万9669円だった。これは使わずに出所の際に受け取ったそうだ。
100万円ほどの所持金
山内さんがいた洗濯工場の中には計算室があり、通常5人のパソコンに強い受刑者がいた。受刑者の報奨金(給与)の計算や、差し入れ金がいくら入り、残金がどのくらいあるかなどの計算を行う。
「おカネの話はご法度なんだけど、仲良くなった計算室の奴によると、市橋くんは物凄くカネを持っているというんだ」
金額の詳細までは不明だが、支援者らが数万円単位を頻繁に差し入れるので、恐らく100万円ほど貯まっているのではないか、という。
「相模原の障害者施設の殺傷事件でも、安倍首相暗殺事件でも、犯人を熱烈に崇拝する支援者がいて、同じように差し入れをしているという 。市橋くんにもそうしたファンのような人がたくさんにいるようだよ」
そして市橋受刑者には、毎月必ず、両親が揃って面会に訪れているという。その際にも差し入れがあったようだ。
「たとえば、面会時間の30分は仕事の時間にはカウントされず給与から差し引かれるんだけど、市橋くんはカネがあるから、そんなことは意に介さない様子だそうだよ。そればかりか、パンツや靴下など、しょっちゅう新品を購入し、ほとんど使い捨てのように使っているらしいよ。だいたい1週間分の7セットの衣類を持っていて、それが1ヵ月か2ヵ月で全部新品に入れ替わっているようだった」
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