朝ドラ「おむすび」が歴史的低視聴率のウラでテレ朝「無能の鷹」は絶好調 脚本家は同じなのに評価が“好対照”の理由

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

 NHKの朝ドラ「おむすび」が6週目に入り、11月4日には4度目となる12%台(12・5%)の視聴率を記録した(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯:以下同)。祝日という不運があったものの、このままでは朝ドラ史上ワースト視聴率の記録も生まれかねない。

 ***

 朝ドラの歴代ワースト視聴率は、2009年後期に放送された「ウェルかめ」の全話平均13・5%だ。初回16・0%で始まり、最高で20・6%を記録したこともあった。

 対する「おむすび」は未だ初回の16・8%を上回ることはなく、前述の通り12%台を4回も記録。SNS上の“反省会”が話題となった22年前期の「ちむどんどん」(平均15・8%)ですら最低は13・6%だった。民放プロデューサーは言う。

「5週目で神戸編に入って数字が若干上向いたものの、6週目で再びギャルの話に戻ると下降気味です。このままでは本当にワースト記録が生まれてしまいそうです。一方、10月期の『無能の鷹』(テレビ朝日)は、深夜ドラマなので視聴率は望めませんが、初回の見逃し配信の再生数が同枠歴代最高の108万8000回を記録し、TVerのドラマ部門ランキングで1位、さらに総合ランキングでも1位を獲得しました」

 なぜ比較の対象が「無能の鷹」なのだろう。

「どちらも脚本が根本ノンジ氏なのです。『無能の鷹』の主演は菜々緒で、全身に有能オーラを纏った新入社員でありながら実は社内ニートと呼ばれる全くの無能OLを演じています。まだ半分も放送されていませんが、ひょっとすると今期一番の傑作かもしれません」

 同じ脚本家のドラマが同時にスタートしたわけだ。

朝ドラは「一生に一度」

「しかも、掛け持ちした一つは天下の朝ドラです。どちらも複数の脚本家を立てているわけではなく、根本氏が一人で書いています」

 朝ドラと連ドラの脚本を掛け持ちというのは珍しいのだろうか。

「例えば、宮藤官九郎さんはエッセイの中で、朝ドラ『あまちゃん』の時も、大河『いだてん~東京オリムピック噺~』の時も、“掛け持ちなんてとんでもない”といったことを書いています。中園ミホさんも朝ドラ『花子とアン』の時は『Doctor-X 外科医・大門未知子』(テレ朝)とは被らないようにしていましたし、現在放送中の『ザ・トラベルナース』(同前)も年内に終了するので、来年前期の朝ドラ『あんパン』には被らない。北川悦吏子さんは朝ドラ『半分、青い。』の時には他の仕事を入れず、熱が入りすぎて視聴者とSNSで喧嘩沙汰になったほど」

 評判を呼んだ前作「虎に翼」の脚本を手がけた吉田恵里香氏は、朝ドラについてインタビューでこう答えている。

《脚本家の多くは、朝ドラの脚本を書くという経験は「一生に一度」ぐらいの気持ちでいると思います。大石静さんや岡田惠和さん、橋田壽賀子さんなど、複数回手掛ける脚本家もいますが、2回目が回ってくることはあまりありません。だからこそ、「これは自分がやった朝ドラです」というときに、「朝ドラでどんなテーマを扱った作家だと思われたいか」という側面からも考えました。》(「日経xwoman」24年10月25日号)

次ページ:NHKが見落としたこと

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。