「紀州のドン・ファン」死後4カ月で、須藤早貴被告が「遺産7000万円」を“先食い”…役員の知らぬ間に株主総会を開催、詐欺罪で刑事告発

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「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助氏(享年77)を殺害した容疑で逮捕、起訴された元妻・須藤早貴被告(28)。9月から和歌山地裁で開始された裁判は、8日から被告人質問が始まるなど大詰めを迎えている。

 検察側は須藤被告の動機を「遺産目的」と主張。須藤被告は否認している。

 野崎氏の死後の彼女の言動を見ると、確かに遺産への執着は窺える。元夫の不審死の4カ月後には、相続が確定する前にもかかわらず、会社に残っていた金銭のうち7000万円分を自らの口座に送金していたのだ。「週刊新潮」では当時、その疑惑を取材している。「遺産の先食い」とも言えるその詳細を振り返ってみよう。
(「週刊新潮」2019年1月3・10日号記事を一部編集しました。文中の年齢、役職、年代表記等は当時のものです)

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 未亡人とともに、野崎氏の遺体の第一発見者となった家政婦が嘆息するには、

「この夏にようやく社長の墓地が決まったんです。ただ、まだ墓石は建ってないし、遺骨も家に置いたままだそうで……」

 ご承知の通り、2018年5月24日に急死を遂げた野崎氏の遺体からは、多量の覚醒剤成分が検出され、和歌山県警による「殺人容疑」での捜査が継続中だ。捜査が迷走するなか、野崎氏の遺骨もまた、安息の地に納められてはいない。

 他方、慌ただしいのは残された幼な妻である。野崎氏の会社関係者が明かす。

「奥さんは2018年7月末に、亡くなった社長が経営していた酒類販売業社の株主総会を開いて、代表に就任したのです。同時に、社長や元家政婦といった他の取締役は過去に遡って退任扱いにされた。さらに、年間最大1億7千万円もの取締役報酬を承認され、うち7千万円分は9月に彼女に支払われている。首を傾げざるを得ないのは、こうした決定が、彼女だけが参加した株主総会で下されたことです」

 そう、いまだ相続には至っていないにもかかわらず、幼な妻は自分ひとりしか株主が出席しない株主総会を開き、7千万円を懐に入れたという。実際に支払われたのはそこから税金分を引いた約3800万円だ。先の家政婦も驚きを隠せない。

「えっ! 全然知らなかった。株主総会を開くという通知も貰ってません。しかも、7千万円ですか。私なんて何十年も社長に仕えたのに……。あの子はたったの3カ月で夫婦面して、何もかも持っていった」

 とはいえ、遺産の行方が定まらないうちに先食いすることなど可能なのか。

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