パワハラ疑惑でも橋本環奈は干されないと思う理由 パワハラ報道のあったタレントたちに共通する「強み」とは
パワハラを生むのは本人の問題? 事務所の問題? 橋本環奈の事務所の求人に見た「干させない」覚悟
とはいえ人と同じことをやっていても売れないという業界の空気が、パワハラを容認しがちな土壌をつくっていることも確かだ。氷川さんの前事務所の社長も、社員に対する暴行や恫喝が問題視されたことがある。そうした社長の元ではキャパシティーを超えた仕事量が売れっ子に集中しても、「期待の表れ」として正当化されてしまうことも多いだろう。そして前述のようなストイックなタレントたちほど、期待に応えようと手を抜かずに頑張るに違いない。鶏が先か卵が先かという話かもしれないが、売れっ子だから威圧的になるのではなく、本人の限界を超えた仕事量がパワハラ的な言動を生んでしまうこともあるのではないか。
橋本さんの所属事務所は15名の小規模な会社で、彼女が稼ぎ頭である。所属事務所の声明では、橋本さんではなく社長が社員に厳しい指導をすることがあることも認めていた。仮にオーバーワークが原因で人間関係にひずみが生じているのなら、複数名体制でのマネジメントに切り替えるなど、仕組みを変えるしかない。並行して10名ほどの社員募集を行っていることも注目されているが、タレントに割くリソースを増やすためのはず。こんなことで橋本さんのことは「干させない」という事務所の強い意思がうかがえる。
気乗りしない仕事に仏頂面を隠さない、そんな振る舞いは批判されやすい。かつて平手友梨奈さんや山本舞香さんもそれで炎上した。「人間だもん、やる気出ないときもあるよね」と物分かりの良さを示すのが令和の正解と分かっていても、引き受けた以上つべこべ言わずにやれよ、と昭和の反応をしてしまう人がまだまだ多いからだろう。だからこそ、パワハラ疑惑が出ようともがむしゃらにわが道を行くタイプの芸能人への支持は衰えないのではないか。
個人的には、橋本さんには昭和っぽい泥臭さだけでなく現代っ子らしいドライさも感じる。でもそれは他人を突き放すことより、自分を客観視する、プロフェッショナルとしての視線が備わっているがゆえであるように見えた。朝ドラでは平成ギャルを演じている橋本さんだが、昭和のマインドと令和のバランス感覚で、1000年に1人のスターとしての歩みが始まることを期待したい。
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