【独自】「良くて無期懲役、悪くて死刑のレベルですね」…女児刺傷「勝田州彦」が手紙に綴っていた逮捕直前の“自供”内容

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「嘘をついていて、たいへん申し訳ありませんでした」

 ところが、逮捕当初こそ「刃物で刺して殺した」と供述していた勝田容疑者は、逮捕6日後に「すべて自分で考えたデタラメ」と供述を翻し、それ以降は発言内容を二転三転とさせ、公判では完全否認という姿勢を見せたのだった。

 岡山地裁の法廷で勝田容疑者は、否認に至る前夜、当時の担当弁護人から「認めたら死刑になる」と言われたことを明かしていた。つまり、男が最終的に「津山事件」について否認した動機は“死刑を避けるため”であったことがわかる。

だが、9月12日に筆者に送られてきた手紙で、勝田容疑者は「津山事件」についてこう明かした。

〈ユキ女史、この際だから正直に言いますね。津山事件もワタクシがやったんですよ。嘘をついていて、たいへん申し訳ありませんでした。本当にごめんなさい、です。この件についても、今後詳しく正直にお話ししますね。〉

 それに加えて「たつの事件」、さらに「加古川事件」への関与を認めることになれば、改めて死刑に処せられる可能性が浮上するはずだ。実際、勝田容疑者は筆者宛ての手紙の中で、未解決となっている両事件のことも告白していた。

〈どちらも自分がやった事なので、この前刑事に自供したんですよ。〉

〈初めは今年の5月27日に兵庫県警察の刑事がたつの市の殺人未遂事件の取り調べで来ていたのですが、まず7月3日にたつの事件のことを認めて、そして8月下旬に加古川事件の方を認めたんですよ。途中から取り調べの雲行きが怪しくなって、加古川事件の方も言わざるをえなくなったんですよ〉

「これは10年どころか…」

 そして、こう続ける。

〈これは10年どころか、良くて無期懲役、悪くて死刑のレベルですね。〉

 津山事件の公判では、死刑になることを恐れて供述を翻し、否認を続けていた。にもかかわらず、一転して津山事件への関与を認め、それどころか2件の未解決事件の〈真犯人〉として名乗り出た。しかも、自ら〈悪くて死刑のレベルですね〉と認めている。

 かつての勝田容疑者は、決して津山女児殺害事件を認めようとしなかった。著者が手紙で疑いを向けると〈アタクシは絶対に殺害していませんっ!!!〉と怒り全開の返信が届いた(23年6月)こともある。一体、なぜ翻意したのか。その理由については、現在、本人に尋ねているところだ。

 もちろん、未解決事件の闇が解明されることは望ましい。ただ、これはあくまでも「津山事件」について長きにわたり「絶対にやっていない」と言い続けてきた勝田容疑者の言い分である。2件の未解決事件への関与を認め、実際に兵庫県警に逮捕されたわけだが、それでも今後、勝田容疑者が否認に転じる可能性はゼロとは言い切れない。

第1回【「ワタクシがやったんですよ」…たつの女児刺傷「勝田州彦」が“直筆手紙”で告白 2つの“未解決事件”で「真犯人として逮捕される予定です」 】では〈大事件ですっ!!また逮捕されそうですっ。〉という言葉から始まった勝田容疑者の生々しい“告白”について報じている。

高橋ユキ(たかはし・ゆき)
ノンフィクションライター。福岡県出身。2006年『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』でデビュー。裁判傍聴を中心に事件記事を執筆。著書に『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』『木嶋佳苗劇場』(共著)、『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』、『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』など。

デイリー新潮編集部

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