「東洋経済」社長が2年で引きずり下ろされた理由 キーパーソンは近い関係にあった“女性執行役員”か

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「われわれは自分のことを棚に上げて、企業に対しガバナンスについて問い詰めてきたわけですし、これからもそうしないといけない。しかし、自分の会社がこうであったときに、自信をもってできなくなってしまう」

 11月1日、東洋経済新報社の社員向け説明会で、記者の一人が経営陣にこんな怒りをぶつけた。「会社四季報」や「週刊東洋経済」で知られる老舗ビジネス出版社で何が起きているのだろうか。

役員による“クーデター”

 同社のトップ人事が明らかになったのは10月30日。現社長の田北浩章氏(64)が12月23日の定時株主総会で退任(会長に就任予定)し、新しく山田徹也取締役(56)が社長に昇格することを発表したのだ。しかし、田北氏は2022年に社長に就任したばかり。前の社長は5年間、その前の社長も5年間トップを務めていただけに、2年での降板はいかにも早い。

 実際、9月17日の業界紙「The Bunka News」のインタビューで田北氏は、「会社四季報オンライン」の有料会員数が順調に伸びていることや、オンライン広告の売り上げがライバルに比べて圧倒的に強いことを強調。若手に作らせた目標を〈今年は社内でより浸透させ、世の中に伝えていくことに取り組んでいきます〉と自信ありげに語っている。やる気まんまんだったのだ。

 が、その田北氏を引きずり下ろしたのが、同社の取締役会だった。

「東洋経済の取締役は5人。10月30日の取締役会で、山田徹也氏を含む3人が、社長の続投に反対したことで退任が決まった。山田氏らによるクーデターです」(東洋経済の関係者)

ある女性執行役員の存在

 2日後の11月1日の正午から冒頭の説明会が行われたものの、肝心の田北氏は出張を理由に欠席。残った経営陣が退任理由を説明することになったのだが、独断専行が多かったとか情報を役員間で共有しなかったとか、抽象的な話ばかりで説明会は大紛糾する。業を煮やした社員の一人が取締役会議事録の公開を求めたが、却下されたという。

 そこで再び同社関係者の解説。

「田北さんは、東洋経済オンライン事業局長を務める女性の執行役員と近く、2億円近い資金を投じる動画ビジネスも彼女の担当にしようとしていました。その女性執行役員と強烈なライバル関係にあったのがクーデターの中心となった山田さん。田北さんの下ではいずれ自分の出番がなくなると考えたのでしょう」

 東洋経済新報社に聞くと、

「トップの世代交代によりスピードを上げて経営課題へ取り組んで参ります。それ以外のご説明は控えさせていただきます」(広報室)

 11月5日には2回目の説明会が開かれたというが、クーデターの詳細をぜひ東洋経済で報じてもらいたい。

週刊新潮 2024年11月14日号掲載

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