政局のキーマン「玉木雄一郎」とは何者なのか 地元は“玉木王国”、立憲民主党との“本当の関係”とは
大平元首相との縁
国民民主はこれまでも複数回、水面下での自民との連携構想が取り沙汰されてきた。特に岸田政権下では自民が連合と距離を縮め、一時は自公国の枠組みが生まれる雰囲気さえ漂った。関係者によると、成就しなかったのは、選挙で協力できるかどうかなどが壁となったという。自民筋からは「国民民主に協力を求めるのもこれで終わりだ」と恨み節が聞こえた。しかし今回は自公が過半数を割り、政権側が一気に距離を縮める展開となっている。
自公が来夏の参院選で壊滅的となった場合に備え、国民民主は立憲との関係も天秤に掛けているとの見方がある。だが、今回の自公との協議の背景は、大平元首相の縁に由来する、玉木氏と旧宏池会との親和性を抜きに語れないだろう。与党を批判する一方で「対決より解決」も掲げ、岸田政権下ではガソリン税減税などを巡り自公と協議してきた。岸田文雄前首相は「キングメーカー」として石破政権に影響力を持つ。複数の関係者によると、玉木氏は実際に自民党旧岸田派と人脈を有している。
政権サイドは衆院選の半ばには、連携候補の筆頭として国民民主に照準を合わせていた。こうした背景や、「世代間闘争」も絡んで立憲民主とは微妙な関係にある玉木氏の立ち位置を勘案すれば、自公が選挙で壊滅しない限り、中長期的には自公国路線が基軸となるのではないか。
さて、国民民主は積極財政である。米国のイエレン財務長官はかつて、総需要低迷が供給力に影響を与えるなどとする「負の履歴効果」について述べた。これが今の日本で顕在化しているとの危惧が玉木氏にはある。その上で「アベノミクスには積極財政が足りなかった」と断じている。
国民民主の「手取りを増やす」というキャッチコピーは、若年層を含む現役世代に見事に刺さった。自民党内では、石破政権が緊縮財政的に見られがちであることを踏まえ「国民民主の政策が交わればちょうどいい」との声がちらほら聞かれるところではある。玉木氏の政界における存在感は、今後も増していきそうだ。