2年連続マイナス成長の見通しで「欧州の病人」に逆戻りしたドイツ ロシアのエネルギー、中国市場に頼った成長モデルが仇に
G7で唯一「2年連続」マイナス成長へ
10月30日、欧州連合(EU)27カ国のうち20カ国で構成するユーロ圏の今年第3四半期の実質経済(GDP)成長率(速報値)が発表された。パリ夏期五輪の特需のおかげで成長が加速し、前期比0.4%増と第2四半期(0.2%増)を上回った。
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だが、域内最大を誇るドイツ経済は相変わらず芳しくない。第3四半期のGDP成長率は0.2%増とプラス成長に転じたものの、景気不安のせいで消費者心理は冷え込んだままだ。
ドイツ政府は10月、今年のGDP成長率を4月時点のプラス0.3%からマイナス0.2%に下方修正した。主要7カ国(G7)で唯一2年連続のマイナス成長となる見通しだ。
2年連続のマイナス成長は、2002~2003年以来のことだ。構造改革の遅れから景気低迷が長引き、当時のドイツは「欧州の病人」と呼ばれていた。
対して、足元の状況を見てみると、ロシアの安価なエネルギーと中国市場の拡大に頼った成長モデルが仇となり、構造不況の様相を呈している。ドイツ商工会議所は10月29日、来年もゼロ成長になると予測した。
VWが国内で数万人規模のリストラ
景気の低迷にもかかわらず、インフレが再燃する兆しが出ている。ドイツの10月の消費者物価指数(CPI、速報値)は前年比2.4%上昇し、前月(1.8%上昇)から加速した。国内の賃金上昇が主な要因だ。
世界第3位のドイツ経済は「スタグフレーション(景気の後退と物価の上昇が同時進行する状況)」という深刻な病に冒されつつある。マクロ経済の悪化に嫌気した産業界は海外投資を優先する傾向を強めており、「産業空洞化」に対する懸念も高まっている。
中でもドイツ経済の屋台骨である自動車産業の動きに注目が集まっている。独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は、製造コストが割高なドイツ国内の3つの工場を閉鎖し、数万人の従業員を削減する方針だ。
VWの第3四半期の世界全体の自動車販売台数は前年比7%減の約218万台、営業利益は42%減となった。業績低迷を受けて、VWは前例のない規模のリストラを断行せざるを得なくなっている。
リストラの動きはVWにとどまらない。ドイツ自動車工業会は10月29日、電気自動車(EV)への移行などに伴い2035年までに国内で失職する可能性があるのは14万人と予測した。
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