「ウエイトトレーニングを一切しない」山本由伸は、なぜ大投手になれたのか? 才能を開花させた“常識外れ”の練習法とは

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 ドジャースの快進撃を支えた山本由伸投手の武器の一つが160km/h近い速球だ。

 近年、投手の球速はアップ傾向にあり、今や日本人でも150km/h以上は珍しくない。

 一昨年のデータでは、日本のプロ野球では千賀滉大投手(ソフトバンク→現メッツ)と佐々木朗希投手(ロッテ)の164km/を筆頭に、9人の投手が最速160km/h台を記録。150km/h以上をマークした投手はじつに213人もいた。近年著しく進む球速アップの背景にはウエイトレーニングの浸透が挙げられる中、“異質”なアプローチを見せるのが当時10位タイの159km/hを計測していた山本投手だ。

 なぜ異質か。一般的なウエイトトレーニングを行わないというのだ。

 前回の記事(“新人”山本由伸のフォームチェンジに立ち会い「おお」と思わず口にした日本人大打者)では、独特のフォームが生れるドラマを見たが、今回は彼独自の練習法の秘密について『山本由伸 常識を変える投球術』の著者で、スポーツライター・中島大輔氏の記事から見てみよう。(デイリー新潮2023年2月4日配信の記事を再構成しました。年齢などは当時のものです)〈5回連載の第3回〉【中島大輔/スポーツライター】

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 山本がウエイトトレーニングを一切行わないことは、球界ではよく知られている。代名詞のように語られるのが、やり投げやブリッジという独特な練習法だ。

 野球選手はウエイトトレーニングをするべきか、否か――。

 しばしば議論になるテーマだが、二元論は不毛に感じる。バーベルやダンベルなどのおもりを持って鍛えるのは、あくまで手段の一つに過ぎないからだ。

「ウエイトトレーニングを否定するわけではなく、それよりもBCエクササイズがよりいいっていう言い方になります」

 山本は自身の考えをそう説明する。都城高校時代はトレーナーの下でウエイトを行っていたが、感覚的にしっくりこなかったという。周囲と比べて自分のほうが小さいのに、速い球を投げられていたからだ。

 同時に、高校時代の山本には違和感があった。たびたび悩まされていた右肘の張りだ。当時から最速151km/hをマークするなど出力が高く、肘の靱帯に高いストレスがかかっていた。医者や整体師からストレッチや、インナーマッスルを鍛えてはとアドバイスされたが、山本は「ピンとこなかった」と振り返る。

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