“新人”山本由伸のフォームチェンジに立ち会い「おお」と思わず口にした日本人大打者
筒香嘉智との自主トレ
どうすれば、自分の真意は山本に伝わるのだろうか。矢田はそう考えて、あえて刺激的な言葉を選択した。
「彼も自分の思い込みの投球をやっていたので、その思い込みを排除しないことには動きは変わりません。『ここをこうしようか』と部分的に伝わって形は出来上がっても、中身はまったく別のものになりますよね。だからまずその思い込みを消すということで、『フルモデルチェンジが必要やね』と伝えました」
山本は「やります」と即答した。
「最初は少し話しただけでしたけど、すごく解決してくれそうだなと何となくピンときて。もともとの原因から直していかないと、改善されないということでした」(山本)
以降、山本は数週間に1度、矢田の下へ通った。オリックスの合宿所「青濤館」がある舞洲から、矢田が施術所を構える鶴橋へは公共交通機関で1時間弱という好アクセスにも恵まれた。
主に取り組んだのは、矢田が考案した「BCエクササイズ」だ。その内容は次回以降に記すが、山本の動画が拡散されて話題になったブリッジはその一つである。
ウエイトトレーニングは一切しないという矢田の取り組みは、現在の野球界では“異端”に位置付けられるだろう。
だが、その下から巣立った先駆者もいる。中学生の頃から矢田の教えを受けてきたのが、DeNAからメジャーリーグへ飛び立った筒香嘉智だ。
2017年オフ、1年目のシーズンを終えた山本は筒香と一緒に自主トレをする機会に恵まれた。
「そのときに、全てと言っていいくらい変わりましたね」
[3/4ページ]