山本由伸「めっちゃデカい人にも負ける気はしない」 投球術を聞かれて語気を強めた瞬間
メジャーリーグ、ドジャースに移籍して1年目の山本由伸投手のポストシーズンにおける活躍には素晴らしいものがあった。実力と実績によってメジャーリーガーとの体格差が話題にされることはなくなったが、彼の178センチという身長はメジャーの投手としてはかなり低い(今年やはりメジャーに移籍した今永昇太投手も同じ178センチである)。
むろん身長は能力を見る際の決定的な条件ではないものの、スカウト時にある程度重視される傾向にあるのは事実である。
「小柄」な山本は高校卒業時、オリックスにドラフト4位で指名された。体格に恵まれているとは言い難い彼がなぜ日本一の投手となれたのか。『山本由伸 常識を変える投球術』の著者で、スポーツライター・中島大輔氏の記事から見てみよう。(デイリー新潮2023年1月21日配信の記事を再構成しました。年齢などは当時のものです)
〈5回連載の第1回〉【中島大輔/スポーツライター】
2022年、史上初となる2年連続の投手4冠(最多勝、最優秀防御率、最高勝率、最多奪三振)に輝き、沢村賞と最優秀選手も連続受賞した山本は今や「日本最高投手」と誰もが認める存在だ。球界では大型投手が増えているなか、山本は「小柄」に分類される。22年2月28日時点でNPB(日本野球機構)に支配下、育成登録された投手502人の平均身長は181.9cm。山本は5cmほど及ばない。
プロ野球のスカウトが身長の大きな投手を探すのは、球速や球威と相関関係が大きいからだ。背丈が大きければ、それだけ筋量をつける余地がある。
対して、周囲より小柄な山本だが、昨季自己最速の159km/hを記録。フォークは同151km/hを計測し、対峙するバッターを力でねじ伏せている。2023年オフには推定年俸6億5000万円で更改し、球界トップに到達した。
24歳で「日本最高投手」に登り詰めた山本は、極めて“異質”な投手といえる。
プロの投手として決して恵まれた肉体を誇るわけではないが、体を大きく使って強い球を投げ込んでいく。特に右腕を大きく後ろに引き、右肘をほとんど曲げずに投げる投球フォームは独特で、プロ入り2年目に台頭した頃には「アーム投げ」と批判されたほどだ。
「こんなカットボールを見たことがない」
西武の山川穂高は2018年に初めて対戦した際、そう驚きの声を発している。山本は投球動作における体の使い方だけでなく、変化球の球筋も他の日本人投手とは異なるからだ。
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