「斎藤元知事のまさかの当選は」兵庫県知事選の現状と見通しについて

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県庁から支給されたパソコンに

 そもそも齋藤氏への逆風が強まったきっかけは、西播磨県民局長のX氏が2024年7月7日に亡くなったことだった。さらにさかのぼると、今年3月にX氏が告発文をメディアや県議に送付したことが一連の騒動の発端だ。

「おねだりの内容が具体的で高圧的な印象を与えたため、ワイドショーや情報番組が取り上げたことで話題に火がつきました。その後に“おねだりされていない”旨を県下自治体トップが否定する場面もありましたが、火消しにはつながらず、齋藤氏は失職に追い込まれたわけです」(同)

 その後、5期20年にわたって県政を担った元知事が中心となって構築してきた「既得権益」に齋藤氏が手を突っ込んだのではないか、それによって「虎の尾を踏んだ」との声も聞こえてくるようになった。要は政敵やその周辺による攻撃だという見方である。

 また、真相究明が今一つ進まなかったのには、こんな事情もあったという。

「X氏はデジタル方面にうとかったようです。告発文書そのものはもちろん“プライバシー度の極めて高い画像”など、さまざまな記録を無防備に県庁から支給されたパソコンに保存していました。そういうこともあってか、疑惑の実態を明らかにするために設置された百条委員会からパソコンの提出を求められたものの、X氏は拒否し続けたようです」(同)

既得権益をめぐる争い

 斎藤氏は失職後、積極的に街に出て県民に語り掛け、その様子をXに投稿している。その姿だけを見れば、低姿勢で好感が持てる「青年政治家」だと感じる人も少なからずいることだろう。

 メディアの論調に疑問を抱く声も上がり、一時は「総向かい風」だった齋藤氏には一定の追い風が吹いているのは事実のようだ。さらにN党の立花氏は齋藤氏の後方支援を担うための出馬である旨を公言している。今後の情勢はどうなって行きそうなのか。

「有権者の3割は投票の態度を決めていないとされ、予断を許さない状況です。良くも悪くも県政の不安定さを招いたのは齋藤氏で、それにうんざりしている人も多い。そうした人は稲村氏ら他の候補に投票することになるでしょう。しかし一方で、たとえば稲村氏について、既得権益の代弁者ではないかといった見方が広がれば齋藤氏にもチャンスが出てきます。また仮に2位でも、大差がつかなければ齋藤氏の存在感が高まる可能性もあるでしょう」(同)

 まさかの斎藤、が実現するのか。投開票は11月17日だ。

デイリー新潮編集部

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