ソフトバンクの「ドラ1」神戸弘陵・村上泰斗は「山本由伸2世だ!」とスカウト陣が断言する理由 ストレートの回転数はメジャーのトップ級を上回る
理想は藤川球児の「火の玉ストレート」
村上も住むことになる「若鷹寮」は、室内練習場とつながっている。
グレーの三角屋根が特徴的なその室内練習場は、内野フィールドが60メートル四方。打撃練習用に6レーン、ブルペンも4レーン。それこそ、24時間、いつでも思いついたら練習できるようになっている。
投手歴2年半で、ドラフト1位にまで駆け上がった。その能力の伸びしろたるや、まだまだ、計り知れないものがある。「福岡にまだ一度も行ったことがない」という村上だが、好物のラーメンとともに、12球団随一の育成環境がある福岡での生活が「楽しみです」と笑う。
村上にとっては、それこそ願ったりかなったりの施設が揃っているのだ。その“虎の穴”で目指したいという、村上の未来図も実に明確だ。
数字でも明らかにされたその“伸びる剛速球”で描く理想は、阪神・藤川球児監督が現役時代に称された「火の玉ストレート」だという。
「ずっと言い続けているんですけど、真っすぐは自分の中でこだわりたいポイント。その代名詞である藤川球児投手の『火の玉ストレート』。自分も、地を這うような、そういう球を投げられるようにやっていきたいです」。
全盛期の藤川が投じたストレートは「2700回転」をマークしたといわれている。
その将来像を実現できるだけの潜在能力を持っていることは、綿密に解析されたデータがきっちりと示している。だからこそ、ソフトバンクは迷いなく、全国的にはまだ何の実績も見せていない『原石』ともいえる村上泰斗の1位指名を決断できたのだ。
数年先に見せてくれるであろう“進化した姿”が、もう楽しみでならない。
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この記事の前編では、村上泰斗投手が野球部で頭角を現すまでのエピソードや、フォームに取り入れた2人の“大投手”について取り上げている。