ソフトバンクの「ドラ1」神戸弘陵・村上泰斗は「山本由伸2世だ!」とスカウト陣が断言する理由 ストレートの回転数はメジャーのトップ級を上回る
スカウト陣が舌を巻いた村上の潜在能力
永井スカウト部部長は、数字で明確に示された村上の潜在能力に「ホント、凄かったですよ」と舌を巻き、そこから導き出される未来像が、くっきりと見えたという。
「村上君は、山本由伸2世です」―。
ソフトバンクは、ラプソードでの計測に加え、投球時の正面、背後、左右からの映像も録画。これを球団に持ち帰って動作解析にかけ、体の動きに関しても徹底チェックを行ったという。
令和時代のスカウティングは、こうして数字や映像で、その特徴やポテンシャルを把握し、鍛えるべき点、修正すべきポイントなども把握した上で、ドラフト指名に乗り出すという時代に入ってきたのだ。
「キレキレの球」
「スイングが速い」
「大物の雰囲気がある」
そういった表現が、どこかしら、当たり前のように飛び交うのが、かつてのスカウティングの世界だった。プロの勘、ベテランスカウトの経験値に基づいた目利きはもちろん重要だろう。
ただ、そうした抽象的な部分、いわばアナログの部分を、いかにして具体的な、デジタルに変換した上で、可視化できるのか。それが、何千万、何億という先行投資を行う一企業として、行われるべき、当然のビジネススタイルだろう。
ソフトバンクは、そうした綿密なデータに基づいた上で、宗山塁、金丸夢斗ら侍ジャパン代表にも名を連ねた即戦力候補の大学生とともに、1位指名候補の最終リストに、村上を残したのだ。
メジャーレベルの練習環境
ウェーバー順となる2位指名は11番目、全体23番目となる。だから村上は「2位では取れない」と永井部長は判断。慎重に指名シミュレーションを繰り返し、念には念を入れ、ドラフト前日に1位指名を公表しなかったのは、他球団の村上の一本釣りをけん制する意味合いもあった。
惜しくも宗山、さらには地元福岡の逸材・柴田は抽選で外してしまったが、事前の作戦通り、プランBで“山本由伸2世”と評価した好素材を獲得することができた。
ソフトバンク側は、プロ志望届提出後にセットされた面談の場で、村上にも筑後の育成施設のパンフレットを渡し、詳細に育成プログラムに関して、その説明を行っている。
充実した練習環境に「メジャーというか、それくらいのレベルですよね。そういう環境でやれることが、自分をもっと伸ばせるんじゃないかなと思っています」と村上はいう。
福岡・筑後市にある「HAWKSベースボールパーク筑後」は、2016年に開業。2軍のメーングラウンドとなる「ホークススタジアム筑後」は両翼100メートル、中堅122メートルで、3113人収容のスタンドも完備。隣接する「ホークススタジアム筑後第二」とともに、1軍の本拠地・みずほpaypayドーム福岡と同じスケールだ。
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