投手歴2年半でソフトバンク「ドラ1」 神戸広陵の153キロ右腕「村上泰斗」が歩んだシンデレラ・ストーリー 「佐々木朗希」と「山岡泰輔」の“ハイブリッド”で急成長!

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「えげつないピッチング」

 ベンチ入りは2年春で、最速152キロをマークしたのは、2年生時の一昨年6月に行われた益田東(島根)との練習試合でのこと。

 同夏の兵庫県大会は5回戦敗退も、投げ合った相手は、その年のドラフト会議で楽天から2位指名を受けた、滝川二の右腕・坂井陽翔。村上は6回途中4失点も、打者としての評価も高かった坂井から3三振を奪うなど「まだちょっとボールがバラけていたんですけど、これはよくなってきたな、と思ったんです」と岡本監督。

 同秋から背番号「1」をつけることになるが、その急激な成長ぶりに加え、投手としてのポテンシャルの高さゆえに、次第にプロのスカウト陣からの注目度も高くなっていった。

「去年の秋の段階では、まだ、ただ投げているだけだったんですよ。勝てないピッチャーだったんで、だから信頼が全くなくて」と岡本監督は今春、兵庫県大会に進むための神戸地区大会でも、村上を先発させていない。そんな中で「あれがターニングポイント」と岡本監督が評したのが、その代表決定戦となった今年4月5日の滝川戦だった。

 滝川エースの2年生右腕・新井瑛太も150キロ超のスピードを誇り、2025年のドラフト候補に早くも名が挙がっている逸材だが、神戸弘陵は5回までパーフェクトに封じられる。

 2点のビハインドとなった6回から、岡本監督は村上をマウンドに送った。

「割とバットを振れるチームなんですよ」と岡本監督がいう滝川打線は、村上に真っ向勝負を挑んできた。これで、村上の方のスイッチも入ったのか、そのピッチングが冴えわたり、岡本監督の表現を借りれば「えげつないピッチングでした」。

 ワンバウンドになるほど低めにグッと沈みながら曲がっていくスライダー。高めに勢いよく伸びていくストレート。どちらも、つい思わず、相手打者が手を出してしまう。

「何か、楽しくなってきましてね。村上もノッてきたし、相手もバンバン来ますしね」と岡本監督。村上の力投もあって同点に追いつくと、延長タイブレークに持ち込んだ。

 無死一、二塁からスタートする10、11回ともに、村上は相手にバントすらさせず、空振りの山を築かせた。そして、いずれのイニングでも走者が塁にくぎ付けのままだった。

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