勝利確率6割で世界を襲う“トランプ暴落”はあるのか 毎月2000億ドルばらまきで迫るデフォルト危機

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バイデン政権が残した負の遺産

 今のウォール街には現代貨幣理論(Modern Monetary Theory、略称:MMT)の信奉者が多いともいう。これは政府が自国通貨建ての負債を無限に発行することが可能で、財政赤字を気にせずに公共投資を行うことができるという考え方だ。政府は完全雇用を達成するための責任があるとし、必要な場合には公共事業を通じて雇用を創出することが推奨される。

 貨幣供給を拡大することで経済を刺激できるとしているが、過剰なマネーの増大はインフレを引き起こし、消費者を苦しめるリスクがある。アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が9月18日に政策金利を0.5%引き下げたのも背景には家計の悪化があるという。

 アメリカ在住の為替ディーラーがこう明かす。

「アメリカではファストフードのメニューの値上がりが続いたため、約8割の国民がファストフードをぜいたく品と見ているという調査がありました。実際、5月にウェンディーズ、6月にマクドナルドがお得なセット価格を発売する実質的な値下げに踏み切っています。

 物価が上がりすぎて消費者の家計が悪化しその結果、商品が売れなくなったためです。クレジットカード(金利は21.5%)の支払い滞納率もじわじわと増加し1994年以来、最悪となりました。滞納が増加すれば銀行経営にも悪影響が及ぶのは必至。米経済楽観論の裏で深刻な事態が進行しているのです」

 トランプ当選を意味する“確トラ”が現実味を帯びてきたアメリカ。「インフレを終わらせアメリカを再び支払い可能にする」と強調しているトランプ氏は、総額数兆ドル分に相当する減税措置や中国に対する60%の関税などを主張している。だが、これらの政策は膨れ上がるアメリカの財政赤字をさらに拡大させてしまう恐れがある。さらにトランプ氏は当選すれば、バイデン政権が残した負の遺産とも戦わなくてはならない。それが莫大な国の借金だ。

「米国の借金はこの10年で約4割も増え、対GDP比は来年100%を超える勢いです。国債の利払い費は1兆ドルを超え、ついに国防費を上回りました。アメリカ政府は莫大な利払いにいつまで耐えられるのか。市場では米国債の償還がやがて行き詰まるのでは、との警戒論が台頭しています。最悪、デフォルトとなったらすべてが泡と消えます。

 トランプ氏は『現在のドル高は米国の輸出企業の国際競争力を損なっている』という立場ですから、ドル高是正のため第2のプラザ合意を断行するかもしれません。1985年にニューヨークのプラザホテルに米英独仏日の蔵相と中央銀行総裁が集まり、各国の協調介入によってドル安への誘導に合意した国際会議のいわば“トランプ版”というわけです。ドルの大幅な下落は世界中の株価の暴落を招きかねません」(前出の証券アナリスト)

“トランプショック”が刻一刻と迫っているのかもしれない。

デイリー新潮編集部

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