大学1年生にも内定で波紋の星野リゾート、“青田買い”と批判され… 採用担当が語る本当の狙い

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形骸化する“就活ルール”への危惧

「方針を転換するにあたり大きな契機となったのは、ここ1~2年で新卒採用市場において、事実上の“内定時期”が大きく前倒しされたという事情があります」

 と話すのは、星野リゾートの人事グループで採用を担当する責任者だ。

“青田買い”と言われる背景には、今年4月に政府が日本経済団体連合会(経団連)に対して行った、2025年卒の「就職・採用活動日程ルール」がある。採用選考を「卒業・修了年度の6月1日以降」、内定は同じく「10月1日以降」とするよう求めたものだ。ところが、この「要請」はほとんど効力を発揮していないと、担当者は考えている。

「少なくない数の学生が2・3年生の頃に、企業から将来の内定の確約、いわゆる“内々定”を受けているのが現状です」(採用担当者)

 もともと“紳士協定”的で大雑把なルールではあったが、それでも2024年卒や2025年卒予定の学生で、2~3年時に事実上の内定を得た、というケースが急増しているのだという。背景には、2022年のインターンシップのルール変更の影響も。インターンシップで得た学生の情報を企業が採用に利用できるようになったことで、早期に学生に“内々定”を打診している実態があるのだという。「採用直結型」インターンと呼ばれるものだ。

 星野リゾートは、こうした一方的な就活の在り方への課題意識から、学生主体の採用活動へシフトしたという。

「こうした仕組みを知っていたか否かで、就活に割く時間や条件が変わってきてしまう。新卒一括採用という慣例も含め、その時々のルールに学生が振り回される今の就活の在り方を、少しずつ変えていければという思いがあり、学生主体で選考スケジュールを決められるようにしました。就活は企業が一方的に学生を“採用する”場所ではなく、学生が本当に自分の入りたい会社か“見極める”対等な機会だと考えています。こうした視点は星野リゾートの掲げる“フラットな組織文化”を体現し維持するためにも大切だと考えています」(同)

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