軽井沢で「マナーなき新参者」が急増 森からムササビが消えた…高級別荘地で何が起きているのか

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あの別荘も?

 要綱の抜け穴を指摘する住民らの声を受け、町は自然保護対策要綱の見直しを進めているという。だが、いくら見直したところで「罰則なき要綱」のままでは同じことの繰り返し。「要綱の条例化」を求める声が増えているという。

 光害の被害者のAさんも賛同するひとりだ。

「例えば、光害を取り締まる条例を持つ自治体は多く、実は軽井沢町が位置する長野県にもあるのです。ただ、パチンコ店の大型サーチライト対策のために作られた条例なので、隣家のようなスポットライトには非対応。とはいえ、軽井沢町で要綱を条例化し、光害を取り締まれるようにならないかと町に訴えました。この問題を報じたNHKの長野放送局も問題の根源が要綱の“脆弱さ”にあると考え、光害に限らず、町が条例化を目指すのならその経緯を放送したいと取材を続けていました。しかし、土屋三千夫町長は『規約の条例化はせず、あくまで見直しでいく』と明言。結局、放送内容は誰も取り締まりができない現状を憂うる内容となってしまったのです」

 最近では“世界的IT長者”の別荘でも光害が取り沙汰されているという。建物には近づけない造りになっているため詳細はわかりにくいが、夜になると山の頂にある敷地内一帯が光に包まれると近隣住民は言う。本来、暗くあるべき場所に出現するこうした強い人工光は、渡り鳥などの野生生物に影響があるという説もある。光害のルール作りは道義的にも自治体の喫緊の課題といえよう。

 大企業から個人まで軽井沢に吹き荒れるアンモラルの嵐に、「要綱の条例化」を求める署名の動きも出ているという。

「自然環境と文化を大切にする軽井沢町と謳うからには、それを守るための条例があってしかるべき。それなのにこれまで一つも作られておらず、この事態になっても作る気なしというのは、町と新規開発側との間で何か水面下の取り決めでも?と穿った目で見る人もいます」(前出の文化協会の会員)

 Aさんも言う。

「光害の家を販売した建築会社は、同じような照明の家をホームページに多数掲載し、現在も販売を続けています。早く条例を制定して違反者を取り締まれるようにしないと、取り返しのつかないことになるのは明らかです」

“軽井沢ブランド”を守り抜くことはできるのか――。

デイリー新潮編集部

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